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ついに当たった!宝くじ!

苦節、30年。
買い続けて30年。
とうとうやったぜ。
ここまで実に長かった。
 
 月の土地を買ってもらって以来、どうやら本当にツキが巡ってきたようだ。
 みずほ銀行の宝くじナンバーサービス係から、一通の親展封筒が届いた。
 ナンバーサービスとは、一年分のジャンボ宝くじをまとめて事前購入するシステムで、高額当選するとその都度、お知らせが届く。
 たとえこちらが確認しなくても、申し込んだ番号が当選していれば、必ず通知がきて、自分の銀行口座に振り込まれる仕組みだ。
ぐうたらの私にとっては、とてもありがたいシステムで長年購入し続けている。
 一年に三回、購入受付完了の通知が4月に、中間発表の結果と、一年分の結果通知が、それぞれきちんと郵送されてくる。
一口は10枚単位なので、必ず末等は当たることになるが、低額当選はいちいち連絡はしてこない。あくまで高額当選のみ、発表後に通知が送られてくる。
 残念なことに、それは過去に一度もなかった。
 
それが、ついに、届いた!
 先日、中間発表のお知らせが届いたばかりの後だったので、親展封筒を見た瞬間、間違いなく高額当選の通知であろうと直感した。
「やったあ。ついにきた!」
 封を開ける前に、大きく息を吸った。
直ぐにでも手で破りたかったが、そこは慎重にハサミで封を切る。
開けると中には、思っていたとおり「当選通知」であった。
ちょっと目まいがした。

 あとは何等かだ。ゆっくりと下に目を落とす。
「3等」
『え?1等とちゃうんかい!』
がっくしきた。
いつかはクラウンは、またいつかとなりそうだ。
『1等は前後賞合わせて10億円だから、2等は恐らく1千万円。3等は百万円か?』
『10億円という夢は消え去ったが、まあ百万円でもいいか』
とは思わなかった。
だってこんなチャンスは二度とこない。それが、百万円で済まされると思うとなぜか、しっくりこない。(恐ろしい。人間、欲が固まるとはこういうことか。百万円というお金に、納得いっていない自分自身が恐ろしくなった)
 気をとりなおして、
『百万円にしても、今まで当たったことないんだから、良しとせねば』
と思い、さらに目を下におろすと、
『当選金額 10,000円』
とある。
「はあ?1万円?間違いだろう。ジャンボ宝くじの3等がたったの1万円なわけない!」
直ぐにググって調べる。
『ジャンボ宝くじ 1等3億円、2等1千万円、3等百万円』
とある。
「だろ、だろ!3等は百万円じゃん」
もう、ちょっと血圧上がり続けて血管切れそうになる。
が、当たった回別をよくよく見ると、ジャンボミニとある。
そこには、
『1等3千万円、2等百万円、3等
・・・・1万円』
「なんじゃあこれ!」
へなへなと腰が崩れる。
「何が、なにが高額当選や!」
 
 奥様に高額当選通知書を目の前にぶらさげて、驚かせてやろうと思ったが、全く話にならない。
それでも1万円が当たったと知ったら、
「ご飯に連れてって」
と言われるのは間違いないわけで、これじゃあ、当選祝いどころか赤字になってしまうではないか。
 
 夜空を見上げると、先ほどまで金色に輝いていたお月さんが雲で隠れてしまった。
 
お前まで、逃げるんかい?!

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