完成の定義

僕と同行者くんの二人は、バンガロール滞在のベースとして会社が予約してくれたホテルに泊まった。一昔前に某お騒がせセレブ嬢でお馴染みになったアメリカの系列ホテルだ。

ホテルは経済特区のようなエリアの中にあるため、入るにはホテル宿泊者がそこの中の会社に勤める人しか入れない…感じになっている。何となくそうでも無さそうな人もちょいちょい居たけど。なので、セキュリティという観点では大変安心なエリアに位置している。

ホテルに入ってチェックインを済ませ、朝食の場所やら色々フロントのお姉さんが説明してくれてるんだけど、マスク越しの超早口なので全く聞き取れない…、まてまて、もう少しゆっくり話してよ、と言うと、始めの数秒はゆっくり話してくれるんだけど、結局また超早口になる。押し並べてインドの人は早口で言葉数が多い人が多い。
たまに誤魔化されてるんじゃないかと、勘繰りたくもなる。

お姉さんの説明が一通り終わると、何か質問は？ときた。なので、洗濯機はどこにあるの？と聞くと、まだ洗濯コーナー無いんですよぉ、と言われる。まだ無い？
続いて、ジョギングが趣味なのでインドでも走りたいなと思い、フィットネスジムはどこ？と聞くと、それもまだ無いんっすよぉ、と言われる。
まだ無い、どう言うこと？？

なんと、そのホテルはまだ完成していなかったのだ。僕は8階に泊まってたけど、別の日に聞いた話ではその上はまだ工事中で造れていないらしい。
確かに、ある日の朝、ホテルを見上げると最上階にクレーンがあったり、まだ窓が嵌まっていない部屋があったり…完成してないじゃん。

タイトルの写真をよーく見ていただきたい。建物の上に、ちょっとだけクレーンが見えている。
つまり、このホテルは全てが完成される前に、もう営業を始めちゃっているのだ。
彼らによると営業開始が3月から、僕らが止まったのが3月第二週だったから、確かにオープン間もない。だけどさぁ、完成する前に営業しちゃうとか、どうなのよ。

ただ、これは決して珍しい事例ではなくて、全てが完成したワケじゃないけど、もう営業始めてます、というのはそこそこ有るらしい。
なんなら、そのまま予算が取れずに一部は工事が停まったまんまで営業していたりもする。

僕らにとってオープンって曲がりなりにも全部準備が整って、それからスタートするものだと思っていたけど、インドでは未完成でもお構いなしらしい。
お国柄と言うか、カルチャーショックはこの後も毎日のように訪れては、我々を驚かせたり呆れさせたりしてくるので、飽きないと言えば飽きないし、大変だと言われれば、マジ大変である。