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五つ星ドライバーの不在

滞在中、ずっと同行者くんと私のアシとして、ホテルから会社までの通勤のみならず、バンガロールからチェンナイまでの片道5時間の移動も、週末出かける時まで運転してくれていたドライバーのPさん。
とても温厚で物腰柔らかいけど、運転の腕と道の選択は的確で、実に快適に我々を運んでくれていた。

そんなPさん、身内の結婚式があるから、二日ほど他の人に運転してもらいますね、とある日の朝に連絡してくれて、その翌日と翌々日は、別のドライバーさんが担当してくれることになった。

翌朝、同行者くんに朝一で連絡が入る。
10m late sir
まあ、多分10分ぐらい遅れまっせ、と言いたいのだろう、と、二人でロビーでしばし待つ。
10分後、来ない。まあ、この辺はよくあること。
15分後にやっと現れる。

クルマに乗り込み、会社に向けて出発。
すると、5mも走らんうちからクラクションをプップ鳴らし始める。
ん?周りには誰もいないように思えますが…。

その後、追い抜いたり割り込んだりする時にクラクション、これはよくある。
交差点を通る時にクラクション、まあ、交差点は危ないからね。
カーブを曲がる時にクラクション、まあ、ブラインドになることもある…かなぁ。
直線を走りつつクラクション、あんた、もうこれは癖でしょう。

とにかく、30秒間のうちに2回から3回はプップ鳴らしてる。他の車のいない、見通しの良い直線でもお構いなし。
同行者くんはちょっとイライラしつつ、なんで鳴らすんですかね!とプンプンしていたので、んー、きっと合いの手かなんかでしょ、と適当に答えたら大笑いしてその場がなごんだ。
プップ鳴り続けていたけどね。

そんなこんなでようやく会社に到着。いつもより数倍疲れたような感じがするのは、プップ鳴らされ続けたからだろうか。

いつもスムーズに、快適に会社の通勤ができていたのは、実はドライバーPさんのお陰なんだなぁと実感。
我々はPさんのことを、敬意を込めて五つ星ドライバーと呼ぶことにした。
じゃあ今朝のドライバーさんは?そうだなぁ、三つ星ぐらいかなぁ、とか勝手にレーティングしていた。

しかし、我々は更なる試練をホテルへの帰り道に味わう事となろうとは、この時はまだ知る由も無かったのである。

後半に続く。

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