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五つ星ドライバーの不在 帰宅編

いつもの五つ星ドライバーPさんが親族の結婚式で二日間不在、その間の代理ドライバー1号は、クラクションで合いの手を打つ三つ星ドライバーさんだった。
でも、彼は確か往路だけと言っていたから、帰りは別のドライバーさんが来るはず。
我々は、帰りのドライバーさんはきっと大丈夫なはず、と根拠のない希望を抱いていた。

帰りの時間、我々の指定した時間より少し遅れて登場。早速ホテルまで送ってもらった。
…、うん、とりあえずクラクションは頻繁に鳴らさないらしい。良かった!

ところが、後ろからドライバーさんを見ると、ちょこちょこ頭が消える。何やってんだ?と同行者くんが私に小声で、このドライバーさん、膝の上に置いたスマホをちょいちょい見てますよ、と言う。

何やってるかは大体想像がつく。スマホのナビで道を確認しながら走っているのだ。車のナビ使えばいいのに、と思うけど、きっと普段の車と違うから、使い方がわからんのだろう。

そもそも、ホテルまでのルートはPさんは迷わずサクッと行っていたけど、結構複雑だった気がする。時折、周りをキョロキョロしながら確認している様子。むむ、これはマズイぞ、と我々もそれぞれのスマホで道を探し始める。
周りの景色はそれなりに覚えているけど、なんとなく外の景色は見たことのない景色だったりする。むむ、これはマジで迷ってんじゃないか?

すると、徐ろにドライバーさんが振り返り、自分のスマホをヌッと差し出してきた。
は?どういう事?
と、言いつつ何を意味しているかは大体わかるよ、ナビれってことでしょ。

そこから、ドライバーさんのスマホナビに従って、そこを右、そこを左とナビしていく。
やっと見たことある景色になってきたなぁ、じゃあそこ左ね、と言うと、ドライバーさんは加齢に右ターン…反対やん!と思わず地元の言葉でツッコミを入れたものの時すでに遅し。
道はどんどん狭くなり、しまいに人が通るのがやっとの幅に。

ドライバーさんもそこでようやく停まり、ソロソロっとバックしていく。今度はバックモニターもしなきゃいかんのか…。
元の道に戻ったものの、そこからも右往左往して、結局Pさんが40分で到着するところを1時間以上掛けて帰ってきた。
ホテルが見えた時、本気でホッとした。

ちなみにそのドライバーさん、翌日の帰りも担当して、またもや迷って、挙句ホテルの前の大通りに出たのは良かったものの最後のところで側道に入るところを本道に入ってしまい、そこから30分ほど戻ってくるのに時間を要した。
同行者くんと二人で、こりゃー二つ星も危ういなぁ、というレーティングで落ち着いた。

Pさんが戻ってきた時の安堵感と言ったらもう…ずっと頼みますよーと言っておいた。

この数日間で痛感したのは、インドでは自分で運転できない分、ドライバーさんとの相性はとても大切。時に快適な空間を提供してくれ、時に命を預けることになるので。


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