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日本で一番希少な、米と水

一切の妥協なく、ブレない価値観と哲学をもって生きる人。
“農業へのこだわり”という枠を超えて、ここまで極まっている大人を、私はほかに知らない。
後にお会いすることになる米農家・戸邊秀治(とべひではる)さん。
10数年前に日本一高価格の米としてメディアで取り上げられていたコシヒカリ"戸邊米"の作り手だ。

戸邊さんについては別の回で詳しく触れるとして、日本で一番希少な米として真っ先に浮かんだのがこの"戸邊米"だった。 
テレビで目にしたのは随分前だけれど、今も米作りを続けていらっしゃるのだろうか?

インターネットで調べてみると昔の記事がたくさん出てきた。
脱サラして新潟県十日町へ移住し、地球環境に負荷をかけない自給自足生活を営みながら、子どもたちと共に、家族皆で力をあわせ無肥料無農薬人力で続けられてきた米づくりー。

こだわりと質、希少性を考えた時に、これ以上の米はないだろう。これまで他の日本酒に使われたことがないのだとしたら、最高だ!!と思った。

書店で日本酒の基礎知識についての本を数冊買い、そのほとんどが酒造好適米を使って作られていることや米の構造の違いを知って一瞬の焦りはあったけれど、やはりどう考えても戸邊米以上のものが存在するとは思えなかった。

日本で一番のものを世界に対して示す、という視点に立てば、私の住んでいる長野県産の米である必要もないだろうと思った。

そして日本酒造りに欠かせないもう一つの原料は、水。

日本酒について調べて原料の説明を見ると、基本的に水の美味しいところでつくられているのだけれど、どこどこの伏流水を使用し。。というような表現がなされていて、大きな特徴がないように思われた。

そこで自分が考えついたのは、長野県伊那市にある分杭峠・ゼロ磁場の水を使うことだった。 
日本有数のパワースポットとして何度もメディアに取り上げられている場所。
私は一度も訪れたことはなかったけれど、ここにしかない水という気がしたし、縁起がよくなりそうだな、とも思った。

どうせなら仕込み日も縁起にこだわりたい気持ちがあり、酒造りをする時期にあたる2022年冬のカレンダーを調べると、1月11日が、天赦日と一粒万倍日、友引の重なる日だったので、この日に始める、ということを自分の中で勝手に決めたのだった。

※写真は、戸邊米の稲刈り取材時に撮影したものです。

※文中の最上級表現は、メディア等でエビデンスがある事例と共に、一部、筆者がその時そのように考えた、という意味で使用しています。

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