見出し画像

はじまり IT ALL BEGINS.

2021年6月21日―
 
今振り返ってみても不思議で、それでいて必然だったとしか思えないのだけれど、この日突然自分の中に、対極の2種がペアになった日本酒のイメージが降ってきた。
 
思い浮かんだのはハリウッド映画の男女で、それぞれが忖度なく自分らしさを存分に主張し、年齢にとらわれず美しく輝いていて、時に融合する、それを思い切り“和”で、日本らしくやったらどうなるだろう―。
 
何の根拠もないのに、世界が見えた!!という直感だけがあった。
 
日本で最も希少な原料を用いて、こだわった仕込みをすることができれば、世界一希少な日本酒ができるんじゃないか。
いまだかつて誰も取り組んだことのない、まだ世界のどこにも存在していないもの―。
 
そして、日頃は雑誌や書籍の編集者をしている自分が、今この日本酒に取り組む必要があるのか?と何度も問うた。
 
思いついた時期には、補助金の類の申請も全て締め切られていたし、米の作付けも終わっていた。他に、既に何度も取材を重ねていて個人的に取り組みたい文章作品の構想もあった。小1の娘を育てながら生活基盤である編集の仕事を続けて、日本酒にも取り組めば、他のことには手が付けられない。
知識がなさすぎてかかる費用は見当がつかないけれど、少なくとも自分の年収3年分くらいは覚悟しなければならないだろう―。
 
それでも、今だ、今やらなくてはだめだ、と強く突き動かされる何かがあった。
今年この日本酒をつくることに着手しなければならない、来年では遅い、今なんだ、と。
 
自腹を切ってでもやる必要があるという、使命に近いものを感じた。
 
それが、世界一の日本酒ができるまでの、物語のはじまり。
 
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?