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【読書】古野まほろ「R.E.D.」に久しぶりに心が燃えた

古野まほろさんの作品。中古本収集癖がある私は13冊購入し、5冊読了。
先日このシリーズ3巻を読んだ。このR.E.D.を読む前にオニキス2冊を手に取ったが、1巻目の半分ほど読み、断念した。なぜかと言うと登場人物が現実離れ。日本の皇族とイギリス王室のハーフで王女様、そして警察庁の警視正を拝命している。出勤はしない、長官からの直通電話依頼で動くのだ。警察署の署員300人を買収して事件を解決するが、そのために2000億円を使い、次の事件では一人の検事(悪党)をはめるのに謎の伝染病発生をしたてる。村人すべてを映画撮影ということでだまし、本当に学校も橋も破壊する。そして村には新品をお返しする。エンタメ小説なので、現実離れも、ありえない設定も、ファンタジーもホラーも楽しい、でもこの作品は推理が秀悦でもないし、読んでいて楽しくないのでやめました。
 
警察もので私費を使う小説には胡桃沢耕史さんの作品「翔んでる警視や警視正」シリーズがあるのですが、これは実家の裏山を売った父から事件解決に使えと言われたお金を使います。このお金の使い方がスマートで、時には部下との事件解決後の食事や事件の特別な打合せに使います。主人公の信念もあります。ネタも練られていて、事件解決が爽快、でも哀愁や悲しさが盛り込まれ、数十冊読みました。全巻読んだと思うのですが、数冊を再購入してあり、再読が楽しみです。古野さんの作品は、なるほど、警察組織、官僚組織、防衛、情報部門の組織が詳細に描かれ、そこはどの作家さんもかないませんね。
 
古野さんの作品では「時を壊した彼女」、「終末少女」、禁じられたジュリエット」があり、これらも女子高生ものなので、いつか読めるのを楽しみにしています。
と言うのも、今900冊ぐらいをレンタル倉庫にスーパーの袋に小分けして保管しており、どの袋に入っているかわからないからだ。  
 
さて、このR.E.D.は少女たちの戦闘シーンが素晴らしい。少女といってもある特殊な生まれの女性たちなのだが、可憐さを併せ持っている。この子たちは形上は本当の女子高に通う生徒。授業には出ません。セーラー服を着て暴れまわるのだから、想像するだけで楽しくなる。ただバラバラに暴れまわるなら、ここまで面白くなかっただろう。全員がそれぞれの特技を活かして巨悪に立ち向かう。そこには生まれてきた悲哀、仲間といられる幸せ、協力して悪に立ち向かう喜びみたいなものを感じながら読みすすめることが出来る。兵器の記述も詳しく書かれていて、それぞれの戦闘シーンのなかでの使い分けの記述も上手い。もう、はらはらドキドキが止まりません。残念なのは、最後のシーン。壮大な目的だったのはわかった。国のナンバー2の逮捕とかはぼかしても良い、ただ、彼女たちの戦闘後を知りたい。彼女らは最後の戦闘で傷ついた。重傷だ。そんな彼女たちが成し遂げたことへの、彼女たちの思いが欲しい。それらをどのように表現するかは作家さんの力量だ。
 
それを持って、この作品は【完】となるのではないだろうか。
 
このシリーズⅠⅡⅢの感想ではなく、感覚はこうです。
わたしは、一般に言われる感想文は書きません。自分の感覚を描きます。
ご容赦ください。
【Ⅰ巻目】
あたしの、読了後の感覚はⅢの読了後に記します。このⅠを読む限りでは、世の巨悪に挑む女性ばかり特殊部隊。しかも特異体質と特殊能力の持ち主たち。彼女らはどこからきたのか、この才能は薬で得られたものなのか、わからない。今Ⅲを読んでいる。いよいろクライマックス。一巻づつ完結するが、3巻通して彼女らを知り、特殊部隊を知るといったイメージ。途中で止めなくて良かった。最高。グッジョブです。
【Ⅱ巻目】
感想はⅢを読んでから書きたい。一言、Ⅱは読むのが止まらなかった。Ⅰはなんともはや、この特殊部隊の彼女たちはなんなの?と感じてつまらなく思ったが、このⅡでは、少しずつ彼女たちの生い立ち、生き方が見え隠れする。といっても100あるとしたら3つか4つしか示さない。年齢も高校生の年でもない。この特殊部隊の神代より、はるかに、そう100年以上生きているようだ。しかも海外で生きてきたようだ。それにしても容姿は若い女の子。どうなっているのか。それはⅢで明かされるのか、核心にふれぬまま終わるのか。タイトルは「察丁(サッチョウ)ローズ」のほうが合うと思っている。
【ラスト Ⅲ巻目】
息を捕まませぬ戦闘シーンが圧巻。すごすぎる。これは、わたしの保存本になるか、最後の数ページ前まではそう感じていた。だがこの作家さんは間違えた。尻切れは、それで良い。だが戦いが終わったサッチョウローズ6人の怪我、絆、回復は描いて欲しい。元気な声を会話を聞きたい。最高権力者のその後はどうでも良い。そんな先のこと、その後は描いても描かなくても良いのだ。ただ彼女たちをもっと知りたい。半分から先の読書はハラハラしすぎで本当に疲れた。その疲れは取ってくれないのですか。どれだけ彼女たちの無事を願っているのか。知りたい。
 
ⅡとⅢは一気読み。ひさしぶりに堪能しました。

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