「それを世界と言うんだね」を読んで

「それを世界と言うんだね」は、元々You Tubeで配信されていた、同タイトルの歌を小説化したもの。
作詞・作曲はカンザキイオリさん、歌はバーチャルシンガーの花譜さん、小説は綾崎隼先生、表紙の美麗なイラストは錦織敦史さんです。


ある日、花園の中で目覚めた"私"は、自分が少女である事以外何者かもわからないと気付く。
そこへ"王子"と名乗る男性がやってきて、2人は"お城"へと向かう…。
"お城"とは物語管理局と言われるもので、そこへは物語で不幸な結末を迎えた者だけが辿り着くという。
"お城"で、城主である親指姫から、自分は童話"赤い靴"のカーレンという少女であると知らされた"私"は、他にも不幸な結末を迎えた童話の登場人物達を救う立場の"物語管理官見習い"に任命される。


この物語は、
第一部 私の物語
第二部 僕の物語
第三部 誰がための物語
断章
エピローグ
からなる物語です。


本の最後の方には、花譜さんの歌う「それを世界と言うんだね」の歌詞も載っています。


マッチ売りの少女、裸の王様、他にもジャックと豆の木やみにくいアヒルの子、空飛ぶトランク、人魚姫…。
様々な理由で、物語の中で不幸になった登場人物を救い、最後には自分も救われる。
そんなお話でした。


読んでいて思ったのは、例え悲しい物語だったとしてもそれはその人だけの特別な物語であり、その人の存在意義が失われる事はないという事。


私達はみんな、自分だけの物語を書く為にこの世に生まれて来た。


そんな事を考えさせられるお話でした。
読み終わった時、私は泣いていました。
"王子"と"カーレン"の美しい物語。
厳密に言うと2人は"王子"でも"カーレン"でもないのですが、それは読んでからのお楽しみです。


ご興味があれば、花譜さんの歌「それを世界と言うんだね」も聴いてみて下さい。
私はこの物語を読んですぐ、You Tubeを開きました。
作詞・作曲のカンザキイオリさんは「命に嫌われている」や、「あの夏が飽和する」が有名ですが、それだけじゃないな…と納得させられました。


ぜひ、綾崎隼先生の小説、花譜さんの歌、カンザキイオリさんの曲、そして錦織敦史さんの美しいイラストのタッグを楽しんで下さい!



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