3月限オプションファープットの謎

3月限のプットで権利行使価格23250円のプットの売りを保有している。このプットの価格(プレミアム)の推移を観察してきた。いわゆるファープットというもので、誰も注目しないであろうプットである。もっともファープット戦略なるものがあり、買っておくと、リーマンショックとか東日本大震災時の株価暴落時には数百倍にもなるので、買っておくという戦略だ。ここでは、それは置いておいて、祝日の天皇誕生日前は6円とか7円という価格だった。とても高いと思った。日経平均が27000円台で4000円近くも下のプットだ。残存期間2週間ちょっと。23250円のプットはSQ値がそれを下回らないと価値はゼロになる。そういう可能性はほとんどないだろう。何故、こんなに高いのか。IVは32位を示していた。VIが15,16なのに権利行使価格23250円のプットはIV32!高い。前述したファープット戦略の影響もあるのか、一般的にファープットは相対的に高めになる傾向はある。しかし、それにしても今回は高い。その理由を私なりに説明しようと思う。プットの価格は買い方と売り方のせめぎあいの中で決定される。これが基本である。これによってそれぞれの権利行使価格が決定されて、アットザマネーからファープットまで価格が順番に安くなってくるのである。従って、単純にその権利行使価格のプットの価格が単独で決定されるのではなく、上下の権利行使価格の並びにも影響を受ける。23500円のプットは23250円のプットより高いし、23000円のプットは23250円のプットより安いのである。プットの価格は1次元ではなく2次元である。プットの取引とは単に上がるか下がるかという1次元の勝負ではなく、プットの並びがどう変わっていくのかを当てるゲームであると考えると他の投資とはまったく違う面が見えてくる。そして、並び方を計る尺度として価格比に注目しているのが私の手法である。3月限はボラティリティがかなり低下した状態が続いており、価格比がここ数か月から半年の中では最も価格比が小さい。そういう意味でもファープットは通常より安くならなければならないのだが、高いのだ。これを解釈できなければ2次元のゲームとしてのオプション取引はできない。答えは、日経平均株価の推移にある。
(続く)

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