現在の手法の基本となるポジションの建て方

現在のオプション取引における手法について述べる。これは数年にわたる試行錯誤により辿り着いた手法である。

実際には、これ以外の様々な小技なども交えて成り立っている。ここではわかりやすくメインとなるポジションの建て方を説明しようと思う。

例えば日経平均株価が27000円と仮定する。SQまでの期間が6週間とする。アットザマネーのオプション価格はだいたい600円くらい、VIは20程度とする。オプションを概観するときに何を見るかというと私は価格比をもっとも注目して見ている。プットの価格が2倍になる時の権利行使価格を取り出して2つの権利行使価格がどれくらい離れているか?これを1000円とすると27000円のプットが600円26000円のプットが300円25000円のプットが150円というような価格となっている。6週間後のSQ時に日経平均株価はいくらになっているだろうかと考えてみる。実際にはそれはわからない。わかれば日経先物を買うか売るかすれば利益は出るのでオプションを取引する必要はない。したがって、オプション取引をするときには株価が上昇するのか下落するのかはわからないという立場でポジションを取る。しかしプットの売りは極めてリスクが大きいので想定いじようの急落が起こればとてつもない損失が生じる。したがって、流石にここまでは下落する可能性は小さいだろうという下落の下限をある程度想定した立場でポジションを取る必要がある。このときにVIはひとつの目安となるのだか、ここではそれは省略して、話を進める。現在27000円の株価が大きく下落したとしても6週間後には24000円になる可能性は小さいと思われる。しかし数日で2000円下落することもあるので絶対にないとは言えない。ここでは一応24000円くらいまで下落する可能性があると想定する。24000円のプットを1枚買い、23000円のプットを2枚売る。24000円のプットは75円23000円のプットは38円である。75円を1枚買い、38円を2枚売る。買い総額≒売り総額なのでもしも日経平均株価に大きな波乱がなく無事にSQを迎えたとしてこのポジションは利益にもならず損失にもならない。このポジションが利益を生むにはどのような条件が必要だろうか。それを考えてみる。

このポジションを決済するには方法が2つある。
①SQまで保有してSQ値で清算する
②SQ以前に反対売買により決済する。

①の場合SQ値によって損益が変わってくる。SQ値が24000円以上であれば損益≒0である。
SQ値が24000円以下であれば利益が生じる23000円のとき最大100万円の利益。SQ値が23000円以下であれば利益は減少してSQ値が22000円で損益≒0。SQ値がそれ以下になると今度は損失が増大してSQ値が小さくなるほど損失は増えていく。SQ値が22000円~24000円で利益が生じる仕掛けとなっている。現在日経平均が27000円であれば6週間後に22000円以下となる可能性は極めて小さく考慮する必要はないと考えられる。逆に24000円以下にならなければ利益にはならない。SQで利益をゲットしようとするならば買いと売りの組み合わせを24000円と23000円よりもう少し引き上げることを考えなければいけないが、そこを間違えると怪我をするので、距離感が難しい。現時点の日経平均が膠着状態であっても数日で2000円動くことはあり得る。明日それが起これば24000円の買いと23000円の売りはアットザマネーから1000円しか離れていない。そして穏やかな値動きが突然嵐の中に置かれることになる。景色は一変する。そのときに不安と恐怖で夜も寝られないということがないように距離感をはかることが重要になる。
②の場合、利益の源泉は価格比の変化である。1000円でオプション価格が2倍になっていた状態がSQが近づくにつれて1000円→875円→750円と徐々に狭くなる。これを、ここでは価格比の増大と表現することにする。500円まで価格比が増大したときに24000円と23000円のプットの価格比は4倍にまで増大している。23000円のプットが1ならば24000円のプットは4である。総額でいえば売りが2買いが4となる。この時点で含み益は2である。23000円のプットを新規で38円で売ったが、もしSQが近づいて価格比が増大したときに23000円のプットが同じく38円であれば24000円のプットは4倍の約150円となっている。24000円のプットは75円で買ったわけだから含み益75円*1000=75000円である。しかし、価格比が増大したときにはアットザマネーの価格が減少するとともにそこからの距離が離れると大きく減少する。23000円のプットがもし1円まで下落していたならば含み益はわずか2円、つまり2000円である。手数料を考えるとほぼ消えてしまう。日経平均が24500円程度まで下落しなければ23000円のプットは38円にはならない。27000円だった日経平均が数週間で24500円に下落するならば嵐である。市場は結構パニックになり、ボラティリティも上昇するだろう。ボラティリティの上昇は価格比の減少を意味する。ボラティリティの上昇を伴わずに日経平均が下落するのが含み益の増大に寄与する。

①と②に共通するのは、日経平均株価がある程度下落してくれることが利益を出すには必要ということだ。しかも、あまりに急激な下落はボラティリティの上昇を招くのであまり好ましくない。ボラティリティの上昇もプットの価格上昇を意味するので場合によっては価格比の上昇との綱引きで利益を生み出すにはかえって良いこともある。①にするか②にするかの判断は基本①と考えながらSQがある程度遠くてなおかつ②でも十分なりえきを生んでいるならば②に切り替えることも有効である。

今回は27000円の株価で24000円のプット買いと24000円のプット売りを例に考えたが、もう少し近いところ、例えば25000円のプット買いと24000円のプット売りも可。株価急落によってかなり危ない局面もあり得るがそれに対処する方法もないわけではない。

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