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美術解説 #1

好きなもの:美術。の木霊トコです。
読書感想(主に古典、思想書)もやっています。


言い訳

昨日までのショウペンハウエルさんの『読書について』の読書感想は一体どうなった、と思われるので言い訳です。簡潔にいいます。精読にかなり時間がかかりそうなのです。そりゃ人間一人の思想が詰め込まれているのだから時間がかかるのは当然だけども、やはりなかなか一章読み込むのは骨が折れました。尻切れ蜻蛉にはならないようにはします。
とはいえ、こだわりすぎて何も書けないのもいけません。ですから、目標の毎日更新を維持するために別のシリーズも並行ですることにしました。読書感想の反省を受けて一記事一作品に簡単に書くことにします。そのようにしないとまた長くなってしまいますから。

概要

ジョルジュ・スーラ『グランド・ジャッド島日曜日の午後』
『グランド・ジャット島の日曜日の午後』
ジョルジュ・スーラ作

このシリーズのテーマとして、見たことはあるけど名前とかはよく分からん、という作品に絞って紹介するということを念頭に選んでいます。
今日の作品はこちら。題名は『グランド・ジャット島の日曜日の午後』。作者はジョルジュ・スーラさんです。季節は夏。フランスの首都、パリのセーヌ川の中洲で休日を過ごす人々を描いた作品です。キャンバスに油彩で描いています。現在はアメリカのシカゴ美術館に所蔵されています。

作者について

ジョルジュ・スーラ(19世紀後半撮影)

ジョルジュ・スーラさんは写真技術の発展を受けて対象を写実ではない視点から描こうとした印象派の後の世代の方ですね。印象派の特徴は筆のタッチが丸わかりである事、屋外での制作、空間と時間による光の変化を正確に描写する事、描く対象が日常的である事、斬新な構図・構成が挙げられるそうです。特に光の変化を理論ではなく感覚で描くことに注力したらしく、他の特徴はその変化を描くために生まれただけなようです。著名な作家はクロード・モネさんなどですね。
そして、ジョルジュ・スーラさんはそのような感覚的な印象派の色彩や光の表現をより科学的・理論的にしようと表現を追究したようです。
その追求の結果が、この作品です。

詳細な解説

端末上の画面だと分かりづらいですが、よく見るとこの絵は限られた色の点で描かれているのです。このように点で描く技法は“点描法”、緑を直接混色したりせず青と黄色の集合で表現する技法を“筆触分割”と呼びます。ジョルジュ・スーラさんはその二つを組み合わせたのですね。彼はそのように工夫することでより光の印象を鮮烈にできると考えたのです。
また、画面の端を見てもらうと分かるのですが、赤、青、紫でできた枠のようなものが画面を囲っています。これもやはり鮮やかな印象に一役買っています。

今回は『グランド・ジャッド島、日曜日の午後』を紹介しました。個人の鑑賞としては、晴れた日曜日の午後の明るさって間も無く来る月曜日の憂鬱さをかえって予感させる気がするのですが、この作品もそのように感じました。私とジョルジュ・スーラさんは時代も文化も違いますからそんな事は意識してないはずなのですが、日曜日の一種の暗さを受け取れたという事はジョルジュ・スーラさんはやはり光の印象を描き切ったことの証明なのかなと感じました。木霊トコでした。

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