ハマック ハマカス ハンモック

ハンモックの起源には諸説あるが、南米に棲息するハマックという樹木の繊維質な表皮を編んで中空で寝る事ができるようにした事が始まりの一つと言われている。それは暑さはもちろん虫や動物などの外敵から身を守るためだったのであろうと推測できる。

そしてハンモックが世界で爆発的に広まったのはその後の航海時代となる。その名の通り長い航海の間、船員たちが荒波の船内でも日頃の疲れを癒し安眠できる寝床として活用され世界各地に寄港した際にその地の人に広まっていったと言われている。ハマック、ハマカス、ハンモックなど色々な呼び方があるのもその所以である。

起源のハマックも航海時代のハマカスも現在のハンモックも素材は変われど基本構造はほぼ同じである。そして人が安全に気持ち良く寝るためのツールという事に関しては一貫して変わりはない。この不変性はハンモックの魅力の一つである。

自分がオリジナルハンモックの製作販売を始めてかれこれ20余年になる。その当初からただ販売するだけでは物足りず、ハンモックをコミュニケーションツールとしてこれまで日本全国津々浦々のキャンプ場、湖畔、砂浜、時にはタワーマンションの真下など様々な場面で人々がハンモックに揺られ癒され笑顔になるのを見てきたが怒り出す人はお目にかかった事がない。そう、ハンモックには人を笑顔にする不思議な力があるのだ。このことがハンモックを生業にしようと思った大きな理由である。

今やハンモックという言葉は一人歩きしていろんな場面で見聞きするし日本においてもキャンプや自宅のインテリアとして定着したと感じるが、自分が生業を始めた当初は『ハンモック？あぁ、昔ハワイに行った時にみた事ある！』なんて反応くらいで、『それを専門に扱うなんてどういう事？』なんて言われたり心配してくれる事も多々あった。

あれから20年、自分は今日も変わらずハンモックに揺られる日々を過ごす。