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抗がん剤治療2クール目〜薬を求めて!〜

初外来抗がん剤治療の前日

1回目の抗がん剤治療は、入院で行われたが、2回目の治療からは外来での治療となった。

抗がん剤治療の前には必ず血液検査をして、異常が無ければ治療をしてもらえた。

血液検査後の診察の時に、主治医が「ちょっと待ってくださいね。吐き気止めの薬の変更があると薬剤の方からメールがきていたので確認します。」と言いながら、薬剤師さんに確認の電話をした。

確認後、「前回の治療の時に、点滴に入れるものとは別にカプセルの吐き気止めの薬がありましたが、次回位からはそれも点滴になるそうです。今回はまだカプセルで服用してもらいます。」と、とても分かりやすく説明してくれた。

処方された吐き気止めの薬、3日分のイメンドカプセルを買う為に、いつも行っている家から1番近くのドラッグストアにスマホのアプリから処方箋を送り、家に帰った。

家に着いてからスマホに着信があったことに気がついた。そして、折り返し電話をかけた。「お薬、明日の分はあるのですが、薬が足りませんので明日また足りない分を持ちに来ていただくか、他の店に行ってもらえますか。〇〇店なら在庫があります。」という連絡だった。

あまり一般的な薬ではないのだろうか。もっと簡単に手に入ると思っていた。それにしても、3個セットの薬なのに何故1つしか無いのだろう?もしかしたら、1つだけ服用する場合もあるのかもしれない!?

明日は2クール目の抗がん剤治療。治療後はふらつくので車の運転は出来ない。どうしよう、薬を取りに行けない。

仕方がないので「そこなら在庫があります」と教えてもらった少し離れた同じチェーン店のところに行った。在庫があると聞いていたが長時間待つことになった。

3時間かあ。

体調が悪い時に待つのは厳しい。しかも、そのドラッグストアは節電で暖房がついていなかった。まだ寒い時期、車の方が日差しで温かだった為、受付の方に声を掛けて車で待機することにした。

その時の私は一度家に帰って再び出直す選択肢が無かった。

時間が掛かる理由として薬剤師さんから「ここの店に来たばかりなので在庫はデータ上にはありますが、きちんとあるかその確認が出来ていない。それから、いま1人しか薬剤師がいないので時間が掛かります。」と、説明された。

その頃は、新型コロナがまた流行っていた為、人手が足りなかったのかもしれない。

それに、薬剤師さんってただ薬を出すだけではないから大変だって聞いたことがある。

たくさん待っている人がいる為、他の支店に行って欲しいのだろう。病院の近くのドラッグストアを勧められた。

待っている人の中には同じく癌の患者さんなのだろうか分からないが、脱毛で帽子を深くかぶっている女の方がいた。この頃からは、帽子を深くかぶっている人を見かけると勝手に仲間意識が働き、心の中で応援していた。

2人に1人が癌になる時代なのだから、どこの院外薬局にも私の求めてる薬が置いてあるものと思っていたがそれは素人考えだったみたい。確かに病院の近くのドラッグストアに行くべきだった。しかし、また移動する体力も気力も無かった。データ上に在庫があるのなら無い訳がない。申し訳無いが待たせてもらうことにした。

約3時間後、ようやく薬を手に入れた私は安心した。

翌日の治療当日、家を出る前に張り切って吐き気止めを内服した

しかし、その吐き気止めは病院に持って行ってから服用するもので勝手に飲んではいけなかった。しまった!うっかりしていた。張り切り過ぎた。全く!こういう患者が困るのだろう、ごめんなさい。

点滴前に看護師さんから「薬は持って来ていますか?」と訊かれるまで、薬は飲んだし完璧だ!と思っていた。

こういうオバチャンが1番困るわ。本当に情けない。

治療中、病院の薬剤師さんが外来の抗がん剤治療の患者の話を訊きながら回っていた。その薬剤師さんにも家から吐き気止めの薬を服用してきたことを話して謝った。それから昨日薬を約3時間掛けて手に入れた話もした。

薬剤師さんは「患者さんが、薬を正しく服用出来ているか確認がしたいため病院で飲んでもらっていますが、大丈夫ですよ。」と言い、昨日の薬探しについては「大変でしたね。次回から点滴に入れますので買いに行かなくて良くなりますよ。」と教えてくれた。

あぁ、良かった〜。と、ほっと胸を撫で下ろした。

そういえば昔は病院で全て済んでいたなぁ。と、ふと院内薬局の頃が懐かしくなった出来事だった。

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