記事作成RTAー日本学連を添えてー

こちらはオリエンティアAdvent Calendar 2023の12/24の記事になります!
リンク↓
https://adventar.org/calendars/8740

<はじめに>
この記事を書いている現在時刻は12月24日午後1時ごろ。そうです、今日です。

書き始め

一か月ほど前に仕上げた原稿を、先日ご臨終されたパソコンの中(しかもクラウド内ではない)に入れっぱなしにしていた私は頭を抱えております。終わったお仕事はきれいさっぱり忘れる性格も災いし、書いていた記事がどんな内容だったかも覚えていません。
気分は現ロスした森の中。しかし私はしがないオリエンティアです。こういうときは、焦らず一度立ち止まってプランを組み立てなおすべし、ということを心得ております。
この記事は、そんな原稿ロストオリエンティアが送る、記事作成RTAを書き綴ったものです。この記事を読んだ方はこのような失敗をしないよう記事原稿のバックアップを取ることを心がけましょう。万が一同じ失敗をした記事担当は、この記事がなにかしらの参考になるよう祈りつつ書いていきます。
それでは参りましょう。オリエンティアアドベントカレンダー初の原稿作成RTA、よーい、スタート!

<自己紹介>
さて、はじめましての方がほとんどかと思いますので、まずは自己紹介から参りましょう。
本年度日本学連幹事長を務めさせていただいております、筑波大学2020年度入学の市川竣介と申します。

↑この画像の人です。この画像のころは日本酒好きだったのですが、最近はめっきり飲めなくなりました。老いを感じます。

主に裏方で活動するタイプのオリエンティアで、学連やいくつかの大会の運営、JOAなんかに関わっております。
競技面については…LapCenterで名前を見かけた日には何か良いことがあるかもしれませんね!
そんな裏方系オリエンティアです。

先月、主催者の小柴さんにご依頼いただきまして、本日の記事を担当することになりました。
(にも関わらずトラブルしてすみません…)

<記事の目的>
さて、何についての記事を書こう、という所でさっそく詰まってしまいました。
私の立場的に書けること、求められているのはきっと日学のこと…しかし何を書けば…。
こんなときは先行研究に目を通すに限ります。
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2017表 齋藤様
なんで日本学連の理事なんてやってるの?続けてるの?
2018表 遠藤様
学連や幹事長のお仕事について
2018裏 渡辺様
学連幹事長の話
2020裏 牧島様
中九四地区学連、破滅の危機
2022 坂巻様
私のきらいな日本学連
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タイトルに学連が入っているのはこのあたりでしょうか。(リンクが切れている記事は除外しています。見逃しありましたら申し訳ないです。)
だいたい、学連全般の説明、幹事長や理事など役職のお仕事、学連の現状・直面している課題、自分がなぜ学連に関わるか、なんかがテーマですね。
学連全般や役職についてはそう変わり映えしないでしょうし、学連の現状や直面している課題、自分が学連に関わる理由について、自分なりにちょっと考えてみます。
以下、私見100%です。もし記事を見て興味を持たれましたら、身近な学連関係者を捕まえてお話を聞いてみることをおすすめします。

<学連とは>
まず前提として、日学は何をする組織なのかを振り返ります。
日本学連は、学生オリエンテーリングの普及と発展、競技環境の保全を目的とした組織で、その目的を達成するためにインカレ開催、テレイン保有などの各種事業を行っています。

第3条 ⽬的
本連盟は⽇本の学⽣オリエンテーリング界を統轄し、代表する唯⼀の学⽣⾃治団体であり、学⽣競技者精神を遵守して⽇本のオリエンテーリングの普及、発展、および競技環境の保全に寄与することを⽬的とする。
第4条 事業
本連盟は前条の⽬的を達成するため、次の各号の事業を⾏う。
(1) ⽇本学⽣オリエンテーリング選⼿権⼤会の開催
(2) オリエンテーリング競技⽤地図の作成と保有
(3) 連盟報、その他刊⾏物の発⾏
(4) 本連盟の⽬的に適う⼀切の事業

インカレが普及と発展、テレイン保有維持が競技環境の保全にあたる事業ですね。つまり、この2つが日本学連の最重要任務というわけです。
ところが日本学連、この双方の活動を行うにあたってなかなか大きな問題を抱えています。

<学連が直面している課題>
①    学生の競技環境の維持(テレイン保有)についての課題
テレイン保有に関する問題、具体的には「日本学連保有テレインが十年後テレインとして利用できる状態で存在しているか否か」です。
現在日本学連は、日光地区の約6テレイン(※1)、矢板塩屋地区の約14テレイン(※2)をはじめ、数多くのテレインを保有しております。これらのテレインは、関東・北東・北信越をはじめとした東日本の地区学連の練習会・大会やセレ、そしてインカレテレインとして利用されてきました。
※1:日光所野、不動の滝(北)、不動の滝(南)、毘沙門山、日光和泉、日光例幣使街道
※2:塩谷熊ノ木、塩谷田所、矢板塩田、簗目川源流、番匠峰古墳、矢板運動公園、矢板日新、矢板幸岡、矢板合会、矢板山田、矢板山苗代、倉掛湧水地、矢板高塩、石尊山
※複数にまたがるテレインは除く単一テレインのみでカウント
これらのテレインを利用できる状態を維持するためには、日光・矢板・塩谷の広大な地区に対する継続的な渉外が必要となります。この課題に対し、テレインのある地区の近くに住みつき地域に密着することで数十年間テレインを維持してきたのが、日本学連副会長のY氏でした。しかし、Y氏も徐々に退任の流れを見せており、現在後任の目途はたっていません。
そうなると問題となるのが、今後どうやってテレインを維持していくか、です。地区に対する継続的な渉外を行うことは必要。しかしY氏のような地域の近くに住む地域密着型の渉外を行うには、担当する人の時間と労力、そして何より人生のある期間を学生のオリエンテーリング環境維持に捧げる「覚悟」が求められることになります。そうなると、引き受けられる人が相当限られるということはもちろん、最終的には現在起きている問題が繰り返されることにもなります。
ではどうするか。個人に依存しない維持管理体制を作ることで、テレイン維持を実現することになると思うのですが、具体的にどうするかは、日学理事と共同で目下議論中です。

②    インカレについての課題
インカレに関する問題は「学生参加の維持と運営負担の抑制のバランスを取りながら、インカレを継続すること」にあると思います。特に問題となるのが春インカレです。

学生の皆さんは一度は思ったことはあるでしょう。
「春インカレ参加費高すぎない?」
高いです。バイト代一か月分くらいの金額がたった三日のイベントで吹っ飛びます。もっと安くなれよ!と私も思います。同じことを思った方が何人もいるでしょうし、実際毎年のように春インカレエントリーの時期はこの手の議題が上がります。
ですが、安くなれよ!議題の結論はだいたいこうです。
「無理です」
なぜこうなるのか。まだ私は学生の身なので、インカレ運営には参加したことがありません。なので、立場上聞きかじった情報だけでできるだけ説明していきたいと思います。詳しい話は身近なインカレ運営経験者にも聞いてみると良いと思います。

・(春)インカレに求められるテレインの条件
インカレに求められるテレインの条件について見ていきます。
まずインカレでは、運営参加者合わせて1000人規模の人間が一堂に会します。そのために必要となるのが、1000人規模を満たせる「会場」、そして「駐車場」です。参考までに、今年度秋インカレの駐車場の容量は主駐車場290台+臨時駐車場です。
そしてそのような「会場・駐車場とテレインが隣接」していること。少なくとも会場とテレインは隣接していることが求められます。この条件がないと、「選手がフィニッシュで会場に戻ってくる」という演出が成立しなくなり、「インカレの応援」ができなくなります。
テレインの質も条件に含まれるでしょう。インカレの舞台にふさわしいテレインであることも求められます。
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・「1000人規模の会場」と「インカレに耐えうるテレイン」の隣接
・「1000人規模の駐車場」が会場に隣接または近隣であること(近隣の場合は要輸送)
・会場は宿泊施設の多い都市からは離れた地域である
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・インカレ運営者の条件
ここは実行委員会で実際に運営していないとわからない部分ですが、聞きかじったことを羅列します。
スケジュールは「ミドル一般・選手権9:00-16:00→ミドル撤収と会場のレイアウト変更等作業→宿帰還/リレー準備→朝設置等作業と選手の入場→リレー一般・選手権9:00-16:00」というハードスケジュールをミスなくこなす必要はある。時間的余裕はない。
インカレ運営者は社会人である。そして関東に多い。ついで関西に多い。
インカレ運営者(年2回)と各全日本(年3回)運営者はほとんど同じ世代。人数的な余裕はない。
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・運営は時間的なあそびのないハードスケジュール
・運営者の数は潤沢ではない
・運営者がインカレにかけられる時間・労力は限られている
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・春インカレが開催される時期条件
春インカレが開催される時期がどのような時期なのか、という視点から考えます。
春インカレはたいてい、3月第2-3週に行われます。その時期は、一般的には旅行シーズンかつスキーシーズンです。
スキーシーズンであるため、スキー場隣接テレインは使えません。
旅行シーズンであるため、宿の予約は埋まりやすくなります。価格も上がります。その中で可能な限り安く、必要な量の予約を確実にする必要があります。
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・会場としてスキー場は使用できない
・宿泊業は旅行シーズンであることを考慮する(価格・宿泊可能容量)
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・宿泊地の条件
会場から離れすぎると遅刻やトラブルに合うリスクが上がります。何より、会場から宿泊地が遠いと運営者のスケジュールが苦しくなります。
また、宿泊業は旅行シーズンであり、地域全体で宿泊施設の宿泊可能容量は減っています。特に観光地の宿泊施設は使えないか、数が限られる可能性が高いです。
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・旅行シーズンでありながら数百人規模の宿を取れるテレイン周辺地域の宿泊容量があること
・観光地の宿泊施設は使用不能できない可能性が高い
・テレインから離れすぎない(一時間程度?)ことが望ましい
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説明しきりたかったのですが、途中で音を上げました。たぶんまだまだ条件はあります。
全部の条件をあげることはできませんが、現在上がっている条件だけでも結構厳しい条件ですね。春インカレの開催には、これらの条件を満たすことが求められます。
春インカレの開催では、針の穴を通していくように計画を立て、ミスなく実現をしなければなりません。しかし、社会人の運営者が(ほぼ無給で)すべてやるのは無理があります。そこで、日本旅行という旅行会社にある程度委託することで、運営負荷を軽減し、「春インカレ」を成立させています。(なお、インカレ事業に参入しようとした日本旅行以外の旅行会社がずいぶん昔にあったそうですが、こんなの無理だと言って撤退したそうです。)
このように、春インカレの裏では、厳しい条件の中でも運営負荷を軽減し、インカレを成立させるための多くの方の努力と策が練られています。それを踏まえてあの高い参加費になっているんですね。

これが秋インカレとなると、
・旅行シーズンではない
・スキーシーズンではない
という条件に変わりますので、テレイン候補も増え、宿候補や容量も増えるのですが...。

一方で、そんなに高いと行く気が失せるよ!という気持ちもよくわかります。かく言う私がそのひとりです。インカレを主催する側としても、参加人数が減りすぎるとインカレ事業が成立しなくなりうるので、避けたいところです。
問題は、これらを踏まえてどうすべきか、の点です。ただ安くしろ!という要求をしても安くはなりません。かといって、学生の負担を見ていながら座視すべきものでもないでしょう。
コロナ禍前であれば、前の年度のインカレを経験し、その魅力を理解した上級生が、下級生に熱烈なラブコールをかけて連れていく、ということができました。しかし、コロナ禍を通して2年連続で春インカレが途絶えたことで、その文化にはほころびが生じています。そもそも上級生が春インカレをあまり経験していないという状況で、以前と同じやり方は難しくなっています。
ではどうするか。インカレの運営体制はそのままに、可能な限り学生の負担を減らすための施策を行う、というのが現実的な路線かと考えます。実際、昨年度-今年度行われた議論では、移動量が多く負担の大きい北海道大を対象に宿泊斡旋自由という方針となりました。このような、運営体制に影響を与えない範囲でできる施策を考案していくことで、運営負荷と学生参加の両立がなされ、ひいてはインカレの継続につながっていくのではないかと思います。

<自分が学連に関わる理由>
思ったより筆が乗ってしまいました。
最後にこれだけ書きたくなったので書きます。

自分が学連に関わる理由は何か。
ぶっちゃけ学連の仕事ってめんどくさいです。規模の大きすぎる議題が雨あられと降ってくるわ、24時間365日おかまいなしにメールslackの通知が飛んでくるわ、それでいて別に何かしら報酬があるわけでもないわ。私も学生の本分と学連と競技のバランスを取れずに苦しむことも多々ありました。ヤケ酒をした回数は両手じゃ足りません。

それでも学連に関わるのは、オリエンテーリングが好きなこと、そしてその界隈を裏で支えてくれている人たちの頑張りに対して、何かを返したいからです。
本文で書いたインカレに関わる人々、日学理事の皆様、Y氏はもちろん、JOAの方、何かと手助けしてくださるOBOGの方々、そして学連幹事のみんな。
いつもありがとう。ございます。
表には見えないけれど、皆様の頑張りがあるから、オリエンテーリングという舞台が成り立っています。

<来年の幹事長へ>
幹事長という役職は、学生でありながら、でも学生と同じではない目線で見なきゃいけない立場です。だからこそ、ある意味孤独で、苦しくなることがあります。
けれど、学生と同じではない目線だからこそ見える、この界隈の良いところがたくさんあります。そして何より、同じ目線で戦ってくれる仲間の存在を一番感じられるのは幹事長だと思います。
どうかその場所から見える景色を楽しむことを忘れずに、来年1年頑張ってください。

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RTA終了!
記録、8時間16分。
あまり推敲に時間をかけられなかったので読みづらいところがあると思います。が、なんとか本日中に投稿できそうです。
お疲れさまでした。良いお年をお過ごしくださいますよう。

間に合った!



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