幸福な王子 は幸せ?

  オスカー・ワイルドの「幸福な王子」という童話。
そこに出てくる王子と燕は幸せだったのか。

  幸福な王子は、旅をする燕が王子の像に出会い、王子の体からルビーなどを王子に頼まれた燕が貧しい人に持っていくお話。
  最終的に、燕は冬になりエジプトに渡れず寒さで死んでしまい、王子もそれと同時に鉛の心臓が割れ、市長に捨てられてしまう。
  自己犠牲のお話として有名。
  
  尊いお話として有名だが、王子は燕を引き止めて死なせ、燕は仲間と別れ死を覚悟して王子の体の一部を運ぶ。
   ここだけを見ると、とても悲しいお話。

  最近は、ヨルシカとのコラボでも有名になった。
映画「今夜、世界からこの恋が消えても」の主題歌「左右盲」。
    映画では、眠るとその日の記憶を失ってしまうヒロイン(演 /福本莉子さん)と、彼女を献身的に支えつつ大きな秘密を持つ主人公(演/道枝駿佑さん)の忘れられない儚い恋が描かれている。
    そのストーリーと幸福な王子をモチーフにした曲が「左右盲」。曲の中では、童話の内容を


(僕の身体から心を少しずつ剥がして
    君に渡して  その全部をあげるから
    剣の柄からルビーを この瞳からサファイアを
    鉛の心臓はただ傍に置いて)


という歌詞で表されている。
  ネタバレを少し含むと、映画の中で主人公は、ヒロインのために病気を知らないフリをし、彼女の毎日が幸せな思い出で溢れるように行動をしていく。そして、彼女の親友にある頼み事をする。
   そこには、多少なりとも自己犠牲が含まれているのだけれど、決して寂しいとは思わない。それよりも相手を思う気持ちが勝っているのだと思う。

 小説「幸福な王子」でも同じことがいえる。
王子は身体からいろんなものを失い、燕は王子のために寒い地域に残り活躍するが、住民にそれが知れ渡ることはない。
偽善といえば偽善なのか。自己犠牲といえば自己犠牲なのか。
映画と同じように、王子と燕の間には何物にも代えがたい愛があった。
だから、自己犠牲のお話なのに今でも愛されているのだと思う。


👑小説「幸福な王子」オスカー・ワイルド


🌎映画「今夜、世界からこの恋が消えても」


🕊‎ヨルシカ「左右盲」


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