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Ep.4 姉の秘密



○○:お前達は、本当の姉弟じゃ・・・ない!?

美月:え!?

○○:そんな・・・

美月:嘘でしょ・・・

二人:・・・


 父からの手紙には、こう書かれていた。




子供達へ


 この手紙を呼んでいるということは、俺はもうこの世には居ないということだな。回りくどいのは好きじゃない。だから最初に言っておく。お前達は、本当の姉弟じゃない。理由は、俺達が結婚してから、一年が経った頃だ。結婚から一年が経つ頃にはお互い、子供のことを意識し始めていた。でも、俺達に子供は出来なかった。ママさんは、不妊症だったんだ。

美月:!?不妊症・・・


 その名の通り、子供が出来ない体だったんだ。この事は、俺もママさんもショックだった。「俺達に、子供は出来ない」そう言われたとき、諦めるしかないと思っていた。でもその時、産婦人科医に言われたんだ。不妊治療をしてみないかと。俺達は、それに賭けてみたいと思った。これで、子供が出来る。そう思っていた。でも、現実はそう上手くはいかなかった。何度やっても失敗。月日だけが流れていった。そして、不妊治療を始めて二年が経った頃、二人で話し合って、不妊治療を辞める決断をした。不妊治療を辞めてからしばらく経った頃。俺達に転機が訪れた。そう。美月との出会いだ。だけど、出会った時は、ある意味最悪だった。美月は捨てられていたんだ。児童養護施設の前に。

○○:そんな!?姉ちゃんが・・・捨てられていた・・・くっ!(心:姉ちゃんを・・・捨てた・・・自分の娘を捨てるなんて・・・ふざけやがって・・・)ジリリリリ✊

美月:○○・・・ギュッ

○○:っ!姉ちゃん・・・

美月:○○。私は大丈夫だよ。そりゃあショックだったけど、お陰で、お父さんやお母さん、それに・・・○○にも出会えた。

○○:姉・・・ちゃん・・・

美月:続き・・・読もう?

○○:・・・うん。


 俺は美月を見つけて、その児童養護施設に預けた。それからというもの、俺はママさんと一緒に、美月の様子を見に行くようになった。そんなある日、施設の職員に提案されたんだ。美月の親にならないか、と。俺もママさんも迷わなかった。俺達は美月を養子にした。こうして、俺達は家族になった。子育ては大変だったけど、とても幸せだった。美月は順調に成長していった。そして、美月が三歳になった時、美月は兄弟が欲しいと言い出した。でも、俺達に子供は出来ない。だから美月に兄弟は出来ない。美月には申し訳ないが、俺は美月に、兄弟は諦めろと伝えようと思った。でもその時、ママさんは俺にこう言った。もう一度、不妊治療をやりたいと。ママさんは本気だった。こうして、再び不妊治療が始まった。でもやっぱり、そう上手くはいかなかった。前回同様、何度やっても失敗ばかり。それでも、俺達は諦めなかった。美月に兄弟を作るために。そして、二回目の不妊治療が始まって二年近くが経った頃、ついに、成功したんだ。無事、妊娠した。ママさんは、○○を身ごもったんだ。

美月:お父さんもお母さんも・・・私の為に○○を。

○○:父さん、母さん・・・ありがとう。お姉ちゃんも。ありがとう。

美月:○○・・・

○○:皆のお陰で、俺・・・幸せだよ。


 一度は諦めた不妊治療に、もう一回挑戦して、諦めず最後までやり遂げられたのは、ママさんや美月のお陰だ。最後に、この事を今まで黙っていてすまなかった。本当は、俺の口で直接伝えたかったが、そう長く保ちそうにない。だからこうして、手紙を書いた。こんな俺で申し訳ない。でも、たとえ血が繋がっていなくても血縁関係がなくても、これだけは自信を持って言える。山下家は、最高の家族だ。美月。もし何かあったら、○○の事を支えてやってくれ。それから○○。あまり姉ちゃんを困らせるなよ。必ず守ってくれ。俺の代わりに、家族を。信じてるぜ。○○なら、家族を守れるって。それじゃあ、今度こそお別れだ。俺はちゃんと見守ってるぞ。俺の家族の幸せをな。


               父さんより

○○:父さん・・・安心してよ。姉ちゃんは、俺がちゃんと守るから。

美月:うん・・・私も、ちゃんと○○を支えるよ。だから、お母さんと一緒に見守っててね。

○○:父さん、母さん・・・ありがとう。俺を産んでくれて。姉ちゃん。

美月:なに?

○○:これからも、一緒に居てね。

美月:うん!

○○:(心:シャドーが言っていた、気付けって言葉・・・この手紙の事だったんだろうな。ありがとう、シャドー。)






一週間後・・・


康太:それで、血縁関係はなかったんだな。

○○:うん。DNA鑑定の結果でも、血縁関係は認められないって。

康太:そっか・・・これから、どうするんだ?

○○:どうって?

康太:いや、だから。お前と美月さんに、血縁関係はなかった。つまり二人は、義兄弟ってことになるだろ?

○○:うん・・・義理の姉弟、て事でしょ?

康太:そう。義理の姉弟ってことは、結婚出来るって事なんだよ。

○○:なるほど!結婚か・・・け、結婚!?

康太:ああ。

○○:え/////け、結婚って・・・だ、誰と誰が?

康太:そりゃあ、お前と美月さんに決まってるだろ?

○○:・・・俺と姉ちゃんが、結婚・・・それって、パパとママってことだよね?

康太:まあ、そうなるな。

○○:マジすか・・・

康太:まあ、急にそんな事言われてもって感じだろうけどな。

○○:・・・(心:結婚か・・・姉ちゃんと結婚したら、どうなるんだろ。まずは、名前呼び?・・・み、美月?うーん・・・変な感じ・・・)

康太:で、話は変わるけど・・・どうだ?新しい家は。

○○:あ、うん!もうスッゴい快適だよ。ホント、最高の物件だよ。

康太:そうか。

○○:良かったら・・・今度、来てよ。いつでも待ってるから。

康太:おう。必ず行くよ。

○○:うん!(心:・・・結婚かぁ・・・)



 俺は、この日から結婚を意識するようになった。



○○:・・・

美月:○○?

○○:え?あ、なに?

美月:はい。書類。

○○:あ、うん。ありがとう・・・

美月:どうかしたの?

○○:え?あ、ううん!なんでもないよ!

美月:・・・何かあったら言ってね?

○○:う、うん!アハハ😅

美月:?


翌日


○○:はぁ~・・・(心:結婚かぁ・・・)はぁ~。

美月:○○。これ、どうかな?けっこ・・・

○○:結婚!?ガンッ💥いってぇ~!

美月:ちょっ!大丈夫?

○○:うぅ~・・・痛い・・・

美月:もう・・・ほら。見せて?

○○:うん・・・

美月:・・・うん。大丈夫。

○○:ほっ😰ね、ねぇ。さっき、なんて言おうとしたの?

美月:?あぁ~・・・これ。結構、上手に出来たかなぁ、って。どう?○○もそう思わない?

○○:あ、あぁ~・・・結構、ね。アハハ😅う、うん!上手だよ。とっても!

美月:やっぱり?ふふっ。もう直ぐで出来るから。座って待ってて?

○○:はーい・・・

美月:・・・(心:さっきの○○・・・結婚って言ってたなぁ。・・・結婚かぁ。そういえば・・・史緒里にも言われたなぁ~。)


 史緒里とは、久保史緒里の事で、私の友達です。


💭


史緒里(電話):じゃあ、実の姉弟じゃなかったんだ。

美月:うん。びっくりしちゃって。

史緒里(電):そっか・・・ん?て事は、二人は結婚出来るってことじゃん!

美月:・・・へっ/////け、結婚!?わ、私と○○が?

史緒里(電):他に誰が居るのよ。

美月:・・・結婚・・・/////それって、パパとママになるって事だよね?

史緒里(電):まあ、そうだね。

美月:そっかぁ・・・パパとママかぁ・・・えへへ/////

史緒里(電):ふふっ。まあ、どちらにしても、幸せにならなきゃ駄目だよ?

美月:史緒里・・・

史緒里(電):・・・もし結婚ってなったら、私も呼んでね?

美月:ふぇ/////もう・・・

史緒里(電):ふふっ。


現実


美月:・・・えへへ/////

○○:?



 結婚を意識するようになった○○と美月。果たして二人は結婚するのか?





To be continued……






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