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思い人は実の姉(前編)


 僕の名前は山下○○。高校一年生です。僕には、五つ年上の姉が居ます。名前は山下美月。料理上手で、優しい姉です。そんな実の姉に僕は恋をしています。でも、実の姉弟での恋愛はできない。だから、この気持ちは封印している。


○○:ふわぁ~~🥱

?:○○おはよう。

○○:おはよう。姉ちゃん。

美月:ふふっ。ご飯出来てるよ。

○○:うん。頂きます。パクッ。うん!今日も美味い!

美月:ふふっ。ありがとう。

○○:今日って、大学は?

美月:今日は二限からだよ。

○○:そうなんだ。

美月:○○は、バイト?

○○:今日は休みだよ。明日のシフトと入れ替わったんだ。

美月:そうなの?

○○:うん。"康太君"が、明日から修学旅行だからね。

美月:あ、成る程ね。じゃあ、今日は真っ直ぐ帰ってくる?

○○:え?あ~、うん。何も無ければ。なんで?

美月:後で分かるよ。○○も気に入ってくれると思う。

○○:? 

美月:ふふっ。あ、時間大丈夫?

○○:・・・あ!そうだ、今日は日直だった。ごめん、行ってきます!

美月:行ってらっしゃい、気をつけてね!

○○:はーい!

美月:ふふっ。


通学路


?:○○、おはよう。

○○:おはよう康太君。

康太:おう!いやー、今日もいい天気だな。

○○:そうだね。


 彼は、宮沢康太君。僕の一個上の幼馴染みで、僕が姉に恋していることを知っている唯一の人間。


○○:うーん。

康太:どうした?

○○:さっき、姉ちゃんが、気に入ってくれると思うって言ってたんだ。

康太:何を気に入るんだ?

○○:それが分かんないから、悩んでるだよ。

康太:うーん、気に入る、か。もしかして、男じゃねぇ?

○○:男?それって、彼氏ってこと?

康太:そうだよ。まあ、その時にならないと正答かどうかは分かんないけど。もし彼氏だったら、どうするんだ?

○○:姉ちゃんが幸せなら、それで良いよ。

康太:お前の気持ち、伝えないのか?

○○:伝えた所でどうするのさ。

康太:まあ、お前が良いならそれで良いけど。

○○:大丈夫だよ。姉ちゃんを幸せにしてくれればそれで。

康太:(とはいえ、美月さんが彼氏を連れてくるのは、初めてだもんな。何もなければ良いけど。)

○○:・・・(姉ちゃんに彼氏、か。・・・姉ちゃんを泣かしたら、"潰す"!)



夕方・○○宅の玄関


📱ピロン


○○:ん?姉ちゃんか。

美月(L):今から大学出るから、三十分で着くと思う。

○○(L):了解。

○○:やっぱり彼氏とか連れてくるのかな。はぁー😟しょうがないか。寧ろ、今まで居なかったのが不思議だし。


三十分後


○○:そろそろかな?

美月:ただいま!

○○:おかえり。

美月:さあさあ、上がってよ。

?:お邪魔します。

美月:○○、紹介するね。彼は、私とお付き合いをしている武田春輝君。武田君、私の弟の○○。

武田:宜しくね、○○君。

 
 俺はこの時、直ぐに感じた。此奴は駄目だと。でも、俺がとやかく言う事じゃない。だから。

○○:・・・

武田:?

美月:こら○○!ちゃんと挨拶して!

○○:・・・

美月:あ、○○!

武田:まあまあ、気にしないでよ。高校生なんだから、色々有るだろうし。

美月:ごめんね。あの子、普段は優しい子なんだけど、私の事になるとちょっと人が変わったみたいになっちゃうんだ。

武田:そっか。でも、そんだけ山下を大事に思ってるって事じゃない?

美月:まあね。うちは、ずっと二人で生きてきたから。

武田:そうなんだ。

美月:あ、座ってて。今、お茶出すから。

武田:ありがとう。

美月:うん。


○○の部屋


○○:あ、もしもし?

康太(電話):よう、○○。それで、どうだった?美月さんのやつ。

○○:うん。彼氏を連れてきた。

康太(電話):やっぱりか。それで、どうなんだ?

○○:彼奴は、駄目だね。

康太(電話):駄目?

○○:うん。胡散臭い。

康太(電話):初めて会った人か?

○○:うん。一瞬だけだったけど、直ぐに分かった。彼奴は、姉ちゃんを幸せにする気は無いと思う。

康太(電話):一瞬見ただけでそれかよ。

○○:うん。でも、姉ちゃんが彼奴と分かれることは無いと思う。

康太(電話):どうして?

○○:姉ちゃんは彼奴を信じ切ってる。そんな気がする。

康太(電話):ふーん。でも、一瞬だけじゃ分かんなくね?

○○:うん。だから、さりげなく姉ちゃんに聞いてみようと思う。

康太(電話):そっか。まあ、何かあったら俺に言ってくれ。何でも手伝うからさ。

○○:うん。ありがとう康太君。

康太(電話):おう!じゃ、そろそろ休憩時間終わりだから戻るわ。

○○:はーい。バイト頑張ってね。

康太(電話):おう。


📱ピッ


夜食時


○○:姉ちゃん。さっきはごめん。

美月:もう良いって。ほら、早く食べないと冷めちゃうよ?

○○:うん。パクッ。うん!美味い!

美月:ふふっ。

○○:それで、彼奴とはいつから付き合ってたの?

美月:もう、彼奴って言わないの。

○○:ごめん。で、何時から?

美月:実は、一ヶ月前に告白されて、それから。

○○:一ヶ月前から付き合ってたんだ。

美月:うん。

○○:それで、どんな奴なの?

美月:一言で言えば、人気者かな?

○○:人気者?

美月:うん。武田君は、大学では一番の人気者だよ。何でも、理事長の息子なんだって。

○○:理事長の息子?(やっぱり胡散臭い。)

美月:そう!それにスッゴく優しいの。特に女の子に対して。それで、皆が武田君に惚れちゃうんだよね。だから、私の事が好きって言われたときはスッゴく嬉しかったなぁ。

○○:そうなんだ。姉ちゃんは、今は幸せ?

美月:うん!とっても。○○も、武田君と仲良くしてね?

○○:・・・うん・・・

美月:ふふっ。

○○:(やっぱり、信じ切ってる。)


 それから何事もなく、一ヶ月が経った。


美月:それで、武田君がさ!

○○:(また、彼奴の話かよ。)


 姉ちゃんは相当、彼奴にゾッコンだ。口を開けば、彼奴の話ばっかり。


○○:ごめん。今日は、お腹の調子が悪いから。ごちそうさま。

美月:え?あ、うん・・・○○・・・


 やっぱり彼奴は、姉ちゃんの言うとおり良い奴なのかもしれない。俺も少し、彼奴の事を受け入れようとしていた。でも、そんなときに事件は起きた。


○○:ふわぁ🥱いつの間にか寝てたんだな。ん?下、静かだな。


階段


○○:姉ちゃん!ご飯は?


・・・


○○:あれ?まだ帰ってないのか?


リビング


○○:姉ちゃん?まだか。え、九時!?九時なのに帰ってない?そんなまさか。

 こんな遅くまで帰ってこないのは初めてだった。俺は慌てて電話を掛けた。でも・・・

○○:出ない。何処に行ったんだ?

 俺が家を出た時、外は土砂降りの雨だった。俺は傘を持って、家を出た。

○○:姉ちゃん!姉ちゃん!何処行ったんだよ。姉ちゃん!

 しかし、全く見つからない。気付いた時には、探し始めて二時間が経っていた。半ば諦めかけていたそのとき。

○○:ん?あれは!姉ちゃん!

美月:!?・・・○、○○・・・

 姉ちゃんは、公園のベンチに座っていた。雨の中、傘も差さずに。

○○:何やってんだよ!傘も差さないで、こんな所に。

美月:ごめん・・・

 俺が見つけたとき、姉ちゃんは泣いていた。

○○:何で泣いてるの?何かあったの!?

美月:○○、私・・・振られちゃった。

○○:え?振られたって、彼奴に?

美月:うん・・・武田君、二股してたの。

○○:え(彼奴が、二股?じゃあ、姉ちゃんが泣いてるのは・・・)姉ちゃんが泣いてるのは、彼奴の所為?

美月:・・・うん

○○:・・・(彼奴・・・)

美月:私のこと、遊びだったんだって。本命は、もう1人の女だって。

○○:何だよ、それ。ふざけやがって!

美月:○○・・・

○○:許さねぇ!(姉ちゃんを泣かすなんて、許さない!)

美月:○○、気にしないで?私は平気だから、ね?

○○:良いよ、強がらなくて。平気だったら泣かないし。

美月:○○・・・私って、魅力無いのかな?

○○:え?

美月:武田君にね、言われたの。私には、何の魅力も感じないって。だから・・・!?

 俺は、姉ちゃんを抱き締めた。

美月:○、○?服、濡れちゃうよ?

○○:姉ちゃんは!

美月:!?

○○:姉ちゃんは魅力的だよ。てか、姉ちゃんより魅力的な女性、有ったこと無いもん。

美月:そんな訳・・・

○○:そんな訳有るよ!俺は、姉ちゃんの良いところをいっぱい知ってる。彼奴なんかよりもずっと!姉ちゃんを好きな気持ちも、彼奴なんかには負けない。

美月:○○・・・

○○:こんな事言われても、困ると思うけど、言うね?

美月:なに?

○○:俺は、何よりも姉ちゃんが大事だ。命を懸けても守りたい、大切な存在なんだ。

美月:うん・・・

○○:好きなんだ。姉ちゃんが。一人の女性として。

美月:!?○○?本気で言ってる?

○○:うん。嘘なんか付かない。本気で、好きなんだ。

美月:でも、私達は血の繋がった姉弟なんだよ?

○○:分かってるよ、そんな事。だから、姉ちゃんを幸せにしてくれれば、それで良いって思ってた。でも、やっぱり無理みたい。

美月:え?

○○:俺が、姉ちゃんを幸せにする。だから、これからもずっと、二人で生きていこ?

美月:貴方は、もう立派な男の子なんだよ。だから、私の事は放っといて、ちゃんとした恋を・・・💏!?

○○:・・・

美月:・・・○、○・・・

○○:俺が誰を選ぶか、決めるのは俺だ。そして俺は、姉ちゃんを選んだ。それで良いでしょ?

美月:○○。本当に、私で良いの?

○○:姉ちゃんが良いんだ。

美月:○○。本当に私が好きなら、抱いて欲しい。

○○:姉ちゃん・・・

美月:今は、○○を肌で感じたい。だから、お願い。

○○:分かった。


○○宅・○○の部屋のベッド


○○:姉ちゃん、可愛いよ。

美月:今、言わなくて良いから。

○○:姉ちゃん。

美月:○○、来て?

○○:うん、

美月:あっ/////


 俺達は、体を重ねた。彼奴の痕跡を消すように。でも此で、



○○:(姉ちゃんは俺の物だ。誰にも渡さない。)



To be continued……




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