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ずっとこどもな私たち

気づいたら7月。
6月、太陽の光を浴びることなく憂鬱になっていてたら7月になる。毎年恒例の例年より暑い夏でバテていたら気づいたら7月も終わりそうだ。

「勉強ができたしまったせいで結局選択肢が狭まったよね。」

8歳の春。私は今の地元の市内に引っ越してきた。かなりの田舎から引っ越してきたこともあって、都会の小学校に転校するのは緊張することだった。

転校初日の一日を何とか過ごし、帰る準備をしていると、急に胸を鷲掴みにされた。

「一緒に帰ろう!」

これが今でも仲良くしている幼馴染との出会いだった。

転校してきてから卒業するまでずっと同じクラスで、放課後は毎日遊んでいたし、夏休みも毎日一緒に学校のプールで日焼けを気にせずに遊んだ。

高学年になると休み時間や昼休みを削ってまで、今流行りのドラマの再現ごっこをして遊んだ。日中や放課後の過ごす時間だけじゃ飽き足らず、交換ノートもやって近況報告をし合っていた。

高校は別々のところに行ったから、会う頻度はガクンと減ってしまったけど、なんとか月に一回くらいは会っていろんなことを喋り倒した。

今はお互い違う県に住んでいるのだけど、月に一回くらいは会っている。たまに電話をして、昨日もいつものように電話をしていた。

幼なじみは凄く頭が良くて、テスト前も教科書を読むくらいで学年5位になれるほどだった。地頭も容量も悪い私にとっては心底羨ましくて嫉妬していた。

高校も地元で一番頭の良い学校に進学した。そんな住む世界が違うような人と今でも仲がいいのは何でなんだろう。

性格が合うわけでもなさそうなのに。ずっと疑問に思いながらも、会えた時は凄く嬉しくて本当の自分でいられることがありがたかった。

そんな成績優秀な子が「勉強ができてしまったせいで選択肢が狭まった。」と言っていたのだ。

理系で専門的な分野を学んでいるから、確かにその通りかもしれないと思った。

それに加え、今までかけてきた勉強の時間とかお金があるから、その道に進む以外の選択肢が考えられないのだろう。

「でもさ、ミホは既存の職に当てはまるような人間じゃないし、もっと自分を表現するような熱い情熱みたいなものがあると思う。じゃなきゃ私たちは今でも友達じゃないと思うし、うちらの共通点は自分のことが大好きでナルシストなんだよ。そういう人は世間からはわがままに見られるかもしれないけど、そういう人こそ人に見られる仕事をするべきなんじゃないかな。」

自分で話しながら今でも仲が良い理由が分かった。私たちは楽器を演奏することやミュージカルが好きで、自分が主役になるようなものを好んでいた。

それは大人になった今、日常では発散することができないから、観客としてそれを楽しんでいる。

でも、観客じゃなくて自分の感性を活かせる仕事をやってほしいと思うし、それをして生き生きしている姿を見たい。

私たちは今でも小学生の時にずっと言っていたことを言っている。

いつか一緒に何かやろうね。

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