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臨床推論 Case78

Rheumatol Int. 2021 May;41(5):987-991.
PMID:32533291

【症例】
36歳 女性

【既往】
僧帽弁逸脱症、レイノー現象、高血圧症、片頭痛、TIA、甲状腺機能低下症

【現病歴/現症】
⚫︎ 転倒後にCTを撮ったところ後頭葉に古い梗塞巣のところに新しい脳軟化領域を認め、血管炎の除外が必要と判断しリウマチ科を受診された

⚫︎ 診察では日光過敏、脱毛、sicca症状、口腔潰瘍なし
⚫︎ 上肢、下肢、腹部に境界のはっきりしないラセモサを認めた

⚫︎ 採血でWBC低値、APTT延長、LA陽性、SSA陽性
  カルジオリピン陰性、β2グリコプロテイン蛋白陰性、RF陰性、dsDNA陰性

What’s your diagnosis ?







【診断】
Sneddon症候群(SS)

【経過】
⚫︎ 皮膚科で生検され小血管内に血栓を認めた

⚫︎ 抗リン脂質抗体症候群と判断され、リクシアナとプラケニルを開始された
⚫︎ その後ラセモサは綺麗になり、新たな神経症状を認めずに経過した

【考察】
⚫︎ SSは4/100万で小-中血管を障害する慢性動脈閉塞性疾患である
⚫︎ 女性に多く3:1、主に20-40と若年発症である
⚫︎ ほとんどが特発性であるが、一部は常染色体優性遺伝である
⚫︎ SSはラセモサ+再発性脳血管障害である
  血管障害は非炎症性である
⚫︎ ラセモサは四肢100% 体幹89% 臀部74% 手59% 足59% 顔面15%
⚫︎ 他に頭痛、弁膜症、腎障害、進行性認知症、動脈性高血圧症、脳動脈・静脈塞栓症である

⚫︎ SSはunder diagnosisされている
⚫︎ ラセモサで拾い上げるしかないない
⚫︎ ラセモサは皮下の細動脈に血栓が生じ、毛細血管が拡張する
⚫︎ ラセモサの輪の中心部に生検を1回は感度27%、2回53%、3回80%である
⚫︎ しかしラセモサが特徴ではあるが特異的ではない
  SLE、本態性血小板血症、真性多血症などでもみられる
⚫︎ 脳血管障害は片頭痛、めまい、舞踏病、脳症など多くの症状を呈する

⚫︎ 診断のためにsPLの検査をされるがaPLはSS患者の57%しか上昇しないという報告がある
・ aPL陽性患者は疾患活動性が高く、僧帽弁逸脱、血小板低下の頻度が多かった
・ aPL陰性患者はラセモサがより広範囲であった

⚫︎ SS患者の75%が脳血管カテーテル検査で異常を示す
⚫︎ しかし初期段階では正常である
⚫︎ SSの皮膚症状は脳血管症状に数年先行すると言われている
  かといって脳血管障害をどのように拾い上げるか明確な決まりはない
⚫︎ aPL陽性患者にはDOACまたはワーファリン(INR>3)が治療になる
⚫︎ aPL陰性患者には明確な治療方針がなく、降圧薬や抗血小板剤がよいという意見もあり

⚫︎ 以下Sneddon症候群の53例のreview(J Neurol. 2021; 268(7): 2450–2457.)
・キャラクター

・神経症状

・皮膚症状

・脳血管以外の血管症状
 10例で異常あり:動脈血栓3例、DVT5例、肺塞栓3令、流産6例

・心臓異常
 23例で異常あり:Libman-Sacks2例、Leaflet thickening4例、AR4例、MR2例、TR1例、心房中隔欠損3例、卵円孔開存3例、大動脈弁二尖弁5例

・脳血管の画像異常


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