臨床推論 Case28
Clin Med(Lond). 2017 Oct;17(5):471-472.
PMID: 28974602
【症例】
58歳 男性
【経過】
⚫︎ 5日間の腰痛、下肢痛、発熱のため受診
悪寒、戦慄あり
⚫︎ BT38.2 HR110
⚫︎ 身体診察は特記すべき異常なし
⚫︎ WBC15300 CRP42.1mg/dL
⚫︎ CT、脊椎MRI、尿路感染、心エコーは正常であった
⚫︎ 入院2日目黄色ブドウ球菌が血培から検出された
⚫︎ フルクロキサシリンを投与したところ5日間でCRPは正常化し、発熱も消失した
⚫︎ 病巣検索のためPET検査を施行したところ以下の通り
⚫︎ エコーで同部位の静脈が閉塞していた
⚫︎ 病歴を取り直すと20年前に静脈瘤の治療を受けており、CTを見返したところ金属クリップが入っていた
What’s your diagnosis?
【診断】
黄色ブドウ球菌による化膿性血栓性静脈炎
【考察】
⚫︎ 黄色ブドウ球菌は25%が感染部位不明である
⚫︎ 一般的に静脈内薬物使用、透析カテーテル、CV、末梢カニュレ、免疫抑制剤がリスクである
⚫︎ 通常危険因子のない市中感染や自然発生のSABはまれであり、原因を調べるために全身精査が必要である
⚫︎ 発生源となる原因を特定できれば除去する必要があり、除去できなければ十分な期間の抗生剤治療が必要である
⚫︎ 化膿性血栓性静脈炎は大腿静脈内の血栓の細菌または真菌感染である
⚫︎ 菌血症の原因が血栓である割合は8%だったという報告あり
⚫︎ IVドラッグ使用者に多いがCVや透析カテーテルなども関連する
⚫︎ レミエール症候群や骨盤術後の骨盤静脈に生じることもある
⚫︎ IVドラッグユーザーの感染症は11%に化膿性血栓性静脈炎を認めた
⚫︎ 自然発生する化膿性血栓性静脈炎は稀である
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?