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ステロイドの免疫グロブリンへの影響

J Clin Immunol. 2016 May;36(4):406-12.
PMID:26980224

Introduction

⚫︎ ステロイド使用により免疫グロブリン低下する
⚫︎ 喘息患者のstudyで12.5mg以上使用群がリスクである
⚫︎ 低ガンマグロブリン血症はCLLやMM、Bcell系リンパ腫、原発性免疫不全、CVIDなどで生じる
⚫︎ CVIDは25%に自己免疫疾患を合併する
⚫︎ ステロイド治療をすでに受けていると膠原病なのかCVIDなのか鑑別が困難になる
⚫︎ 低γグロブリン血症は80%以上の患者でクラススイッチするBcellの数が著しく減っている
⚫︎ しかしステロイドが低γになる原因はよくわかっていない
⚫︎ PMRとGCA治療中のステロイドの免疫グロブリンへの影響を調べた

Methods

⚫︎ PSL±MTXの患者のみ 他の免疫抑制治療患者は除外
⚫︎ 他の悪性腫瘍がある人も除外

Results


⚫︎ キャラクター

⚫︎ 低γは患者群33% コントロール6%であった
⚫︎ 低γはPMRで29% GCAで68%認めた
⚫︎ ステロイドの初期投与量に関連し、Ig値、累積投与量、投与期間、MTXの有無では差はなかった

⚫︎ 19/36で少なくとも1回7.0g/Lを下回ったことあり、少なくとも半年は減っていた
⚫︎ 13/19ではIgGのみ、2/19でIgG+IgA、2/19でIgG+IgM、2/19でIgMのみ低下した
  3つとも減った、IgAのみへった、IgA+IgMのタイプはいなかった
⚫︎ 低γの9/36例は一過性のものであった
⚫︎ IgGが5.0g/L未満になったものは観察期間中に正常値に戻ることはなかった

⚫︎ ステロイド治療2週間以内にIg値が記録され、その後少なくとも2回測定された15名
・ 高容量時点でIgGが低下したのは13/15
・ IgG低下値は平均3.47d/L(1.39-8.71) 39.40%(16-53)
・ そのうち7例はIgGが正常以下(7未満)になっていた

⚫︎ ステロイド投与群はリンパ球が少なかった (1481±777 vs 1956±671)
⚫︎ B細胞の解析したところ移行期B細胞とナイーブB細胞の減少を認めた

⚫︎CD4陽性T細胞に関してはメモリーT細胞とレギュラトリーT細胞の減少を認めた

⚫︎ B/T細胞サブセット数はいずれもIg値と挿管なく、B/T細胞の減少は低γの発現と関連はなかった

Discussion

⚫︎ GCA/PNRの約50%で低γになり、そのうちの50%は持続的に低γを認めている
⚫︎ GCAの方が多かったのは初期投与量が多かったからだろう
⚫︎ またステロイドの感受性の個人差もあるのかもしれない

⚫︎ IgG5.0g/L未満になるとそこから回復した患者はいなかった
⚫︎ IgGが持続的に低い患者は感染のリスクが高い

⚫︎ ステロイドによる低γの機序は不明である
・ 形質細胞のアポトーシス増加によるIg合成の減少
・ 免疫グロブリンの異化作用の更新

⚫︎ CIVDでは少なくとも二つのIgが減る
⚫︎ ステロイドの場合はほとんどの場合がIgGだけに作用し、IgAは温存される
⚫︎ CVIDはナイーブB細胞とメモリーB細胞の減少がCVIDの発症にかかわる
⚫︎ 本例のようにステロイド投与でメモリーB細胞が減少することはリウマチでも指摘あり
⚫︎ in vitroでステロイド投与によりB細胞前駆細胞が数時間以内にアポトーシスを起こすことが示されている
⚫︎ CVIDの場合はナイーブB細胞とメモリーB細胞の減少が発症に関わる
⚫︎ 本研究からはステロイドによるIg減少とCVIDによるIg減少は機序が違うことがわかった

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