臨床推論 Case104
Intern Med. 2019 May 15;58(10):1507-1509.
PMID:30713291
【症例】
16歳 女の子
【主訴】
腹痛
【現病歴/現症】
⚫︎ 2ヶ月続く下腹部痛のため受診された
⚫︎ 発症一ヶ月前より月経困難症のため経口避妊薬を内服し始めた
⚫︎ 痛みのあるところは塊があるような感じがする
⚫︎ ロキソニン、カロナールで対応したが改善しない
⚫︎ 採血、CT、MRIは問題なし
⚫︎ 身長152cm 体重44.8kg (BMI18.1)
⚫︎ 左下腹部に圧痛点ありPinch test、Carnet sign陽性であった
What’s your diagnosis ?
【診断】
前皮神経絞扼症候群(ACNES)
【経過】
⚫︎ 1%リドカイン注射を施行し効果はあったものの、一時的であった
⚫︎ プレガバリン、トラマドールなど試したが効果は乏しかった
⚫︎ 結局経皮的に神経切除を行った
⚫︎ 術後は痛みは劇的に改善した
⚫︎ しかし1ヶ月後に痛みは再発してしまった
⚫︎ 前回の手術部位よりも中枢に対して近位部から切除した
⚫︎ その後は2年間再発なく経過している
【考察】
⚫︎ ACNESは手術、妊娠、運動に関連する
⚫︎ 77%は女性で年齢は幅広く18-77歳
⚫︎ 小児領域の腹痛95例の12%を占めた報告あり
⚫︎ 肥満や性ホルモンの増加と関連する
⚫︎ エストロゲンとプロゲステロンは生殖機能だけでなく色々なところに影響が出る
⚫︎ たとえば体液貯留に関連する
⚫︎ エストロゲンは内臓脂肪よりも皮下脂肪の蓄積を促進する
⚫︎ そのためかエストロゲン製剤はACNESの原因となりうる
⚫︎ ピル内服によるACNESの報告は1例あり
⚫︎ この症例は虫垂炎術後の創部に発生した症例であった
⚫︎ 脂肪蓄積や局所の組織浮腫に関連したのかもしれない
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