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臨床推論 Case65

Rheumatol Int. 2019 Nov;39(11):1983-1988.
PMID:31222438


【症例】
50歳 男性

【現病歴/現症】
⚫︎ 14日間続く呼吸困難、胸部不快感、発熱、筋痛のため受診された

⚫︎ BP119/65mmHg HR133bpm
⚫︎ 両側前脛部に皮疹を認めた
⚫︎ WBC16600 Hb11.1 CRP26mg/dL
⚫︎ 心エコーでは13mmの心嚢液貯留を認めた
⚫︎ 造影CT検査をしたところ大動脈に8-10mmの壁肥厚を認めた
⚫︎ (画像はないが)肺に結節影を認めていた

⚫︎ 左下肢の皮疹を生検したところ表在血管の周囲に好中球とリンパ球の浸潤を認めた

⚫︎ 自己抗体はc-ANCAが強陽性(>160)、抗核抗体80倍、RF33.3IU/mLであった
⚫︎ 最初はRAやSLE、GCAなど何かしらの大動脈炎と考えた
⚫︎ PSL60mgで開始した
⚫︎ しかし炎症反応高値と大動脈の壁肥厚は残存しPSL60-80mgを数ヶ月使用し続けた
⚫︎ トシリズマブ162mg/週を12週試みたが改善なし

⚫︎ リツキシマブを投与したところ著効しステロイドを減量することができた
⚫︎ しかしリツキシマブの投与初期段階で動脈瘤が出現した
⚫︎ そのため大動脈修復術を施行し、その際に大動脈の生検を施行した
⚫︎ 病理では血管壁に大動脈炎を示す炎症細胞浸潤を認めた
  巨細胞は認めなかった


What’s your diagnosis ?












【診断】
ANCA関連血管炎による大動脈炎

【経過】
⚫︎ フォローの画像で大動脈壁肥厚は改善していた
⚫︎ PSLはその後も減量することができた

【考察】
⚫︎ ANCA関連血管炎は通常は小血管炎だが大血管炎を呈した報告はあり
⚫︎ 10例の文献レビュー

⚫︎ 年齢は58.9±10.2歳 すべて男性
⚫︎ 5例のp-ANCA、5例のc-ANCAであった
⚫︎ 大動脈に加えて全て小血管の病変を認め、ほとんどの症例で肺と腎臓病変を認めている
⚫︎ 6例がシクロフォスファミドで治療されている

⚫︎ 今回の症例はリツキシマブで治療した
⚫︎ 今後リツキシマブが1st治療として考慮してもよいかもしれない

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