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臨床推論 Case26

Clin Med(Lond).2020 Jan;20(1):105-106.
PMID:31941742

【症例】
28歳 男性

【経過】
⚫︎ 歩行中の突然のふくらはぎの痛みで受診
⚫︎ 外傷や運動歴はない
⚫︎ 腫れて赤みと圧痛を認めた
⚫︎ バイタル正常、筋肉内圧正常、血流OK、神経障害なし
⚫︎ エコーは皮下浮腫あるが関節は正常で血栓なし

⚫︎ 1年前に総腓骨神経障害あり
⚫︎ 3ヶ月前に足に潰瘍ができて抗生剤治療した

⚫︎ 翌日疼痛が増強し、左膝に痛みが限局した
⚫︎ MRIでは大腿部から足首にかけて、左膝を中心とした広範囲の皮下浮腫あり
⚫︎ PETでも取り込みあり

⚫︎ 生検では出血とエクリン腺周囲の脂肪壊死を認めた
⚫︎ 蜂窩織炎と診断され、テイコプラニンとレボフロで治療されたが改善なし

⚫︎ 来院21日目右ふくらはぎと膝の痛みが出現した
⚫︎ この2日後に両手と左肘が腫脹した
⚫︎ 腕を生検したところ真皮深部の線維化が皮下隔膜におよんで好酸球が散在していた
⚫︎ 末梢血好酸球は0.-1.2mm/hr ???であった
⚫︎ その後顔にも皮下硬結が出現した

⚫︎ 診断がつかず病状は進行し、画像検査と生検が繰り返された
⚫︎ その後、限局性の筋膜炎と末梢血のEo増多がみられた

What’s your diagnosis?






【診断】
好酸球性筋膜炎

【経過】
⚫︎ ステロイド治療後速やかに改善した
⚫︎ 4週間で完全に消失した

【考察】
⚫︎ 好酸球性筋膜炎は自己免疫性のまれな結合組織疾患である
⚫︎ 遠位四肢の有痛性腫脹および硬結を特徴とする

⚫︎ 特徴は以下の通り
・組織は筋膜の肥厚とリンパ球の凝集を認める
・好酸球増多は通常認めるが診断に必須ではない
 また組織所見にも認めないこともある
・発症前に激しい運動をしていることがある
・後期合併症として関節の拘縮があるため早急な治療が必要

⚫︎ 近年のstudyでは79%が発症-診断に11ヶ月を要している
(JAMA Dermatol.2016 Jan;152(1):97-9.)

⚫︎ むずかしいのは蜂窩織炎に似る、末梢Eoは必ず上昇しない
⚫︎ そのため画像、病理、症状などから慎重に診断する

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