「西部戦線異状なし」を視聴して

視聴の動機

戦争物を見る気分だった。「西部戦線異状なし」は、Youtubeのあらすじ紹介動画で大まかに内容を把握しており、かねてから興味があった。

あらすじ、映画の内容

舞台は、第一次世界大戦中の西部戦線(ドイツとフランスの国境付近の前線)。わずか数百mの領土を争い、数百万人が戦死した。主人公は、ドイツ側の志願兵(大学生くらいの年齢)。戦場での絶望や苦悩から、戦死までを描いている。

所感

 見ごたえのある映像だった。ストーリーが多少ドラマティックに描かれているものの、事実(手記)に基づいて製作されているらしい。

 主人公と友人が腹を空かせて、民家から食料を盗むシーンが2度描かれている。2度目には、民家に住む子どもに見つかり、休戦間近であるにもかかわらず友人が殺されてしまうのだが、その時に得た食料はガチョウの卵程度である。あまりにも割に合わない、戦争時における不平等な環境を表している。(そして、司令官は豪勢な食事を取っている。)①環境が物事の優先順位を変えてしまう事、②立場・身分によって待遇がこんなにも違う事が示されている。

 ①については、例えばのどがカラカラの時は、多少高くても自動販売機の水を買ってしまう現象と通ずるところがある。②は言うまでもなく、この世界における例は、枚挙にいとまがない。

 こういう戦争映画を見て、鑑賞後に他の人の感想を読むことが多い。この映画にしても「反戦」を唱える声が多い。ただ、毎回思うのが「可哀そう、凄惨だから反戦」というのは、果たして争いをやめる理由になるのだろうか。これは歴史が証明しているが、ならない。人の本質は争いにあると、私も考えている。戦争は、政治の道具であり、必ず目的とゴールがある。戦争の悲惨さを訴える事は重要であり、そこに疑問の余地はないが、「なぜ戦争をしなければならなかったのか」をとことん考えることで「どうしたら戦争をしなくて済むのか」に至る方が良いのではないか。この作品は、一兵卒を主人公にし、「戦時中は一兵卒なんて、取るに足らない存在だった」ことをメッセージとする意図がある事は承知だが、本作品で自分のプライドのままに戦争を推し進めていた現地の指揮官について、もう少し描写や説明があってもよかったのではないか。(もちろん、一兵卒との対比をわかりやすくする意図があったことは理解している。また、停戦協定を結ぼうとしていたドイツ側の担当者の苦悩は描かれていたため、一定の説明はされていると感じた。


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