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優しいスピッツを観て改めて気づいたこと

先日、公開中の劇場版優しいスピッツを鑑賞してきました。
wowowで放送されたのも観ていたし
普段映画を観る時はほぼサービスデイしか行かないタチなので、特別料金2,900円か…むむ…と
正直、ちょっと割高なのでは?と思っていたのですが

実際に映画館で鑑賞してみて、演奏が始まった瞬間、その邪な考えは吹っ飛びました。
しっかりしたスピーカーが設置され、劇場内にスピッツの力強い演奏が大音量で響くその空間は、実際のライブ会場の臨場感をかなり再現していたのです。驚きでした。

とは言え、国の重要指定文化財に指定された元幼稚園の遊技場という特殊な環境で、お客さんのいない中演奏するというスタイルなので
セットリストはいつものライブとはかなり趣きを異にしているし
一曲ごとに雑談を挟む、いつものライブ以上にリラックスした進行はとっても新鮮で
この映像作品でしか観る事のできないスピッツも堪能できます。

ただ、それでもスピッツのライブに行くといつも抱く感想を、今回もやっぱり抱きました。
それは、スピッツほど力強くラウドなサウンドを奏でながら、温かく優しく美しい音を届けてくれるバンドは多分いない、ということ。

初めてスピッツのライブに行った人はみんな、スピッツの生音の大きさや力強さ、音の太さにびっくりする様で、自分も例に漏れずそこに大変痺れたクチです。
ただ、そんなサウンドに乗るメロディーとマサムネさんの歌声は怖いくらい優しくて美しくて、いつも理由もなく涙が溢れてくるんですよね。

今回は、映画館のシートにじっくりと腰を据えて鑑賞したおかげで、スピッツというバンドだけが持ち得ている(だろう)そのマジックにひたすら酔いしれることができました。

そして、今回改めてスピッツがどうしてその相反する要素を体現する事ができるのか…
自分なりに考えてみたところ
メンバーが常々公言している、音へのこだわり…そなわち音楽への愛、バンドサウンドへの尋常ではない愛が、私たちに届く時には優しさへと変化を遂げているのではないか…と思いました。
彼らが、音源の中でそれぞれの楽器の音を出来るだけクリアに、いい音で届けたいという気持ちや、曲を演奏する喜びに満ちた想いをプレイに乗せているライブ中の姿は、あまりにも純粋で混じり気がなくて、それは愛そのものだと思います。
そんなメンバーの中歌を歌うマサムネさんが優しくなるのは、ごくごく自然なことだなあ、と思うのです。そしてその優しさが私たちに伝染していく…。

世界がスピッツだったらいいのに
と、かつて某雑誌の名物編集者が口にした言葉がありますが
100%共感しかないし、今こそその言葉を叫びたい!という気持ちで劇場を後にしました。

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