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ASICSのMETARIDE AMU

建築とスニーカーの融合。なんと魅力的な(購買意欲を掻き立てる)アイディアだろう。2021年の春に購入した「METARIDE AMU」は、アシックスと隈研吾氏が開発した「履く建築」だ。竹を編んだような立体的なアッパーソールは繊細かつ柔らかみがある。なんと素晴らしい(芸術的な)作品だろう。

ところが、大地と溶け合うはずのサンドベージュのスニーカーは、私のもとに届いてから、そのほとんどを下駄箱の中で過ごしている。その理由はとてもありきたりなもので恐縮だが、履くのが勿体ない、履いて汚したくない、綺麗なままのAMUでいてほしい、と思ってしまっているからだ。

思い出せる中でAMUの一番の出番は、沖縄で催された妹の結婚式だ。赤いかりゆし、白いパンツ、サンドベージュのスニーカーと、沖縄の砂浜に降り立つにはぴったりなコーディネートだと思い浮かべながら履いていったが、チャペルでは若干浮いてしまったのは否めない。そもそも砂浜にはビーサンだった。すまん妹よ。

スニーカーには寿命があるとよく言われるが、このままでは私のAMUもその生を十分全うすることなく加水分解の日を迎えてしまうかもしれない。それは何としても避けるべく、AMUのことを「作品」と称してハレの子として接するのではなく、建築であるなら住んでこそ、という精神でケの子として今後は日常からどんどん履いていこう。

そう心では思いつつも、通勤には勿体ない、近くのスーパーには勿体ないと、結局また違う子を下駄箱から選んでしまうのである。すまんAMUよ。



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