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所属欲求の心理学

個人事業主は気楽である。マネジメントすればいいのは独りであるし、人間関係で悩む機会は皆無である。しかし、寂しいといえば寂しい。

人間はなにかに所属していたいという欲求があり、これは所属欲求と言われる。この欲求は進化的に発達してきたもののようで、孤独を感じると免疫系などにも影響を与えるという。うさぎは寂しいと死んでしまうという都市伝説もあるが、全くの嘘でもないようだ。

そして、なにかに所属しているという感覚には前提条件がある。

添付図を見てもらえばいいのだが、まずひとつ目は「機会」である。所属欲求を感じるには、「場」が必要である。人と人が交わる場があれば、そこに所属感が生まれる。

もう一つは「能力」である。原文ではコンピテンシーと記されているが、仲間の輪に入っていけるだけの能力があることで、そこに「所属できる」という感覚が生まれる。

さらに一つは「知覚」である。場の空気を読んだり、相手の表情を感じることで「所属している」という感覚が立ち上がる。

最後の一つが「モチベーション」である。生まれつき所属欲求が強い人もいれば弱い人もいる。また、ある集団にネガティブな印象があれば、そこに所属しているという感覚も減るだろう。

人はなぜ仕事をするのかという理由は多岐にわたるが、仕事は上記の条件を満たすことで「所属感」を感じさせることができるというのも、一つの理由ではないのだろうか。

うさぎではないものの、私も仕事以外に所属できる場を模索してみようかと思う。

【参考文献】

Allen, K.-A., Kern, M. L., Rozek, C. S., McInerney, D. M., & Slavich, G. M. (2021). Belonging: A review of conceptual issues, an integrative framework, and directions for future research. Australian Journal of Psychology, 73(1), 87-102. https://doi.org/10.1080/00049530.2021.1883409

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