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こじらせた所属欲求との付き合い方

ヒトは社会的な動物である。独りで生きることに不安を抱え、どこかに所属することを願ってやまない本能を持っている。

この本能が満たされないと、ヒトは反社会的な行動に走ることがある。多くの犯罪者の足跡をたどっても、社会的に排斥され、孤独な人生を送っていたケースも多い。

しかし、所属欲求が満たされないときの心理とは、具体的にはどのようなものなのだろうか。

いくつかの研究から所属欲求が満たされないものは社会に関心がないわけではないことがわかっている。むしろ、所属欲求が満たされたものよりも、社会に関心を持っていることが報告されている。

また所属欲求が満たされないヒトは自ら受け入れを求めることを避ける傾向があるが、受け入れ側が手を差し伸べた場合は必ずしもそうではないこともわかっている。

このようなことから、所属欲求が満たされないものは、過去に傷ついた経験から、所属したい気持ちはあれども、よほど確実な状況でないと、一歩前に踏み出すことが難しいのではないかとも考えられている。

しばしば社会困窮者が社会保護を求めないことが話題に登るが、このような心理学的な背景を踏まえれば、社会保護者側の方から積極的に手を差し伸べるほうが理にかなっているようにも思える。

一見、理にかなわないようなことであっても、当事者の中では理にかなうこともある。援助にあたっては様々な視点からものを考えたい。

【参考文献】
Baumeister, R. F., Brewer, L. E., Tice, D. M., & Twenge, J. M. (2007). Thwarting the need to belong: Understanding the interpersonal and inner effects of social exclusion. Social and Personality Psychology Compass, 1(1), 506-520.

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