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非人間化は合理的判断?差別に関わる脳領域

人間は心優しい生き物のはずだが、時に相手を人間扱いしないことがある。とりわけ戦争状態では非人道的な行為が頻繁に行われるし、身分が違うと行って差別的な言動をする人もいる。

こういった行為の背景には非人間化と呼ばれる心の働きが関係しているが、今回取り上げる論文は、この非人間化に関わる脳領域を探ったものになる。

Denying humanity: The distinct neural correlates of blatant dehumanization.
人間性の否定: 露骨な非人間化の明確な神経相関

実験では24名の被験者に以下の10のグループを文字で示し、それらに対してどのような気持ちをどの程度抱くかについて回答させている。

  • 高位グループ(人間):アメリカ人、ヨーロッパ人、外科医

  • 低位グループ(人間):ムスリム、ジプシー、ホームレス

  • 動物:仔犬、サル

  • その他:幼児、ロボット

ちなみに回答が求められたのは以下の4つのカテゴリーであり、各グループに対して、どれほどの同質性、類似性、好み、人間性を抱くかについて答えさせ、その時の脳活動をfMRIを用いて調べている。

Figure 1を参考に筆者作成

結果として、非人間的評価と関連して、言葉が概念処理に関わる下前頭回の活動が高まっており、この領域が非人間化に深く関わっているのではないかと論じられている。

Figure 3

Q: 憎しみと非人間性は関連しているのか?

明日読む論文:
憎しみの常態化:手に負えない政治的対立を背景とした Facebook でのアイデンティティ、感情の分極化、非人間化
The normalization of hatred: Identity, affective polarization, and dehumanization on Facebook in the context of intractable political conflict

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