赦せないものを赦す方法:赦し介入のメタアナリシス
過去にとらわれずに生きていくことは難しい。嬉しいことも悲しいことも何かしら自分自身の行動に影響を与えてしまうからだ。とりわけ憎しみの感情は扱いに難しく、溶けきれない怒りは身を蝕み、あるいは他者を傷つけることになる。今回取り上げる論文は他者を赦すための介入方法の効果について調べたものになる。
Intervention studies on forgiveness: A meta‐analysis
許しに関する介入研究: メタ分析
この研究では、過去に行われた赦しを促すための介入研究9本を対象にその実際の効果を調べている。対象となった研究は、
・赦しの決意を促すもの
・赦しのプロセスを促す個人セッション
・赦しのプロセスを促すグループセッション
である。
赦しの決意を促すものとは、赦せない相手を許そうという決意がなされることで実際赦せるようになるという考えのもとで行われるものになり、
赦しのプロセスを促すセッションは、以下の順序で進められるものになる。
1 怒りの表出、罪悪感の吟味、不公平感の洞察などの心理プロセスを掘り下げるフェーズ
2 許すことへの意思決定と約束をするフェーズ
3 加害者への思いやりや共感を育む作業フェーズ
4 自身の価値観や人生の意味づけを深めるアウトカムフェーズ
結果として最も効果が高かったのは、赦しのプロセスを促す個人セッション(効果量1.66)、ついで赦しのプロセスを促すグループセッション(効果量0.82),効果量がほぼ認められ買ったのが赦しの決意を促すものとなっている。
やはり赦すには様々な段階を踏んでいく必要があるのかもしれない。
Q: 赦しと精神疾患の関係
明日読む論文:
精神的幸福を促進するための許し療法:系統的レビューとメタ分析
Forgiveness therapy for the promotion of mental well-being: A systematic review and meta-analysis
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