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懲罰的傾向は文化で異なる

私達は罰することが好きな生き物です。政治家の汚職などはしばしば大きな抗議運動を引き起こしますが、この抗議活動への参加は設けだけを考えれば合理的ではありません。3時間抗議活動に携わったとして汚職が改善し、国家収支が改善したとしても、その利益はおそらく時給0.1円にも満たないでしょう。にもかかわらず私達はズルを許せません、不思議なことです。

このような身銭を切っての懲罰的行動は、社会全体で見ればルールを守らせ社会秩序を保つ働きがあるとも言われています。今回取り上げる論文は、このような懲罰傾向が文化によって違うかどうかを調べたものです。

人間社会全体にわたる高額な懲罰
Costly Punishment Across Human Societies

この研究では5大陸の15の文化圏で暮らす1762人に様々な経済ゲームを行わせ、懲罰行動の特徴について調べています。結果としては以下のことが分かりました。

・懲罰行動は普遍的であるが文化圏によってばらつきがある。
・親和的行動が高い(他者への気前が良い)文化圏ほど、懲罰傾向も高い。

一説によると懲罰行動に関わる遺伝子は、ある集団の遺伝子プールの中で最適化されるように、その保有割合が変化してきたのではないかと論じられていますが、様々な文化圏によって違うのは現代までの生存環境などの歴史も関係しているのかなと思いました。

Q: 親和的行動と懲罰行動の関係について調べたものを知りたい。
明日読む論文:
見知らぬ人を助けるか罰するか:第三者としての利他的な決定と共感的関心との関係の神経相関
Helping or punishing strangers: neural correlates of altruistic decisions as third-party and of its relation to empathic concern





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