見出し画像

あなたは良い上司?上司のためのラポール管理尺度

働く上で上司と部下の関係性は切っても切り離せないものですが、これはどのようにして評価できるのでしょうか。今回取り上げる論文は、上司のラポールマネジメントの評価方法について検証したものになります。

Development and validation of a measure of leader rapport management: the LRM scale
リーダーの信頼 関係管理の尺度の開発と検証: LRMスケール

社会言語学分野にポライトネス理論というものがあります。これは人間には相反する2つのコミュニケーション欲求があるというものです。一つは自由に振る舞いたいというエゴ的なもの、もう一つは構ってほしいという関係欲求的なものです。人間はこの2つの欲求のバランスを取りながら生きています。ラポールが取れている状態とは、程よい距離感でこのバランスが取れていることと捉えることもできます。

この研究で紹介されているLRM(リーダーのラポール管理(Leader Rapport Management)スケールでは、以下の8項目の評価でリーダーが部下のコミュニケーション欲求をどの程度汲んでいるかを評価します。採点方法は「非常に同意しない」を1点、「非常に同意する」を5点とする5段階評価、※は逆点項目になります。


自我欲求(Ego Wants)に関する項目

  1. 上司は他者の前で私を批判する(※)

  2. 上司は私のワークグループのメンバーを他者の前で恥をかかせる(※)

  3. 上司とのやり取りの中で、上司は私を批判する(※)

自律性の権利(Autonomy Rights)に関する項目:

4. 一般に、上司は私に物事を私が最良だと思う方法でさせてくれる
5. 上司は私にかなりの自律性を与えてくれる

関係性の権利(Association Rights)に関する項目:

6. 上司とのやり取りの中で、上司は私に必要な注意を払ってくれる
7. 上司は私の質問や関心事に時間を割いてくれる
8. 上司は必要な時に私と関わるのに十分な時間を取ってくれる


ちなみに自我欲求項目の合計平均点と標準偏差は4.78±2.39点、自律性の権利は5.09±2.08点、関係性の権利は5.00±2.62点。

私は独り商売で部下はいないが、子どもとのやり取りで考えると、自我欲求は4点、自律性の権利は7点、関係性の権利は6点。自律性は比較的高めなのかもしれない。無論、子供にこれを評価させれば、もっとシビアな数字が出るかもしれないが。

明日読む論文:
なぜ私たちは他人と同調してしまうのでしょうか?対人同期と脳の最適化原理
Why do we fall into sync with others? Interpersonal synchronization and the brain's optimization principle

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?