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スナフキンの頭の中:自閉症スペクトラム障害と対人欲求の仕組みとは?

スナフキンのように生きられたらな、と思っている。

人間が嫌いな訳では無い。しかし、独り、静かに充足して生きていけたら、どれほど幸せだろうとも思う。

しかし、なぜ私は独りで生きていけないのだろうか。それは独りでは寂しいからである。独りが好きな私でも、それなりに誰かと関わりたいという欲求がある。

脳科学的にはこのような欲求にはオキシトシンが関わっていると考えられている。

脳の中には、「欲しい!」という気持ちを司る仕組みと「好きだ!」という気持ちを司る仕組みがある。

「欲しい!」という気持ちはドーパミンが分泌されることで高まるが、オキシトシンはドーパミンの分泌を促すことで「会いたい!」「関わりたい!」という欲求を引き起こすのだ。つまりオキシトシンは、社会的欲求の火付け役として働いている。

Kohls et al., 2012, figure 1を参考に筆者作成

自閉症スペクトラム障害では人とのコミュニケーション欲求が低いが、これにはオキシトシンに関わる仕組みが通常と異なることが関係しているからではないかと考えられている。

この対処方法としてオキシトシンスプレーを使うことや、ソーシャルスキルトレーニングが有効であるとも言われている。

しかし、ふと思う。果たしてスナフキンにオキシトシンスプレーをすれば、彼はもっと幸せになれるのだろうか(ソーシャルスキルはありそうだけれども)。

幸せとはマジョリティになることなのだろうか。ちょっとだけ立ち止まって考えてみたい。

【参考文献】

Kohls, G., Chevallier, C., Troiani, V., & Schultz, R. T. (2012). Social 'wanting' dysfunction in autism: neurobiological underpinnings and treatment implications. Journal of neurodevelopmental disorders, 4(1), 10. https://doi.org/10.1186/1866-1955-4-10


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