麻黄湯はどうやって肺炎を防いでいるのか?
漢方薬にはだいぶお世話になっている。時折出てくる咳喘息や疲労症状にはとてもよく効く印象がある。個人的には咳喘息も疲労症状も免疫系の問題なんじゃないかと思うことがあるのだが、実際のところはどうなのだろう。
今回取り上げる論文は、先のパンデミックでも注目された麻黄湯と呼ばれる漢方薬の抗炎症効果の仕組みについて調べたもの。
Maoto, a traditional Japanese medicine, controls acute systemic inflammation induced by polyI: C administration through noradrenergic function
日本の伝統薬である麻黄湯は、ノルアドレナリン作動性機能を介してポリI:C投与によって誘発される急性全身性炎症を制御する
麻黄湯はインフルエンザで高熱が出るようなケースで処方されることが多く、高い抗炎症作用があることが分かっている。とはいえ、どのような仕組みで抗炎症作用が生じるかは分かっておらず、この研究ではマウスを使ってその仕組について調べている。
実験の詳細は省くが、結果としては免疫細胞のβアドレナリン受容体に働きかけることで、免疫細胞の炎症作用を抑制しているのではないかと論じられている。
免疫細胞に限らず、人間のいろんな細胞には、様々な伝達物質をキャッチしする受容体と呼ばれるものがある。βアドレナリン受容体はアドレナリンをキャッチして、免疫細胞の働きを変えるような役割があるのだが、麻黄湯の成分が、このβアドレナリン受容体にくっついて、免疫細胞の炎症作用を抑制するのではないかと。
Q: 咳喘息でお世話になっている小青竜湯の免疫系への作用機序を知りたい。
明日読む論文:
Proteomic Analysis of Anti-inflammatory Effects of a Kampo (Japanese Herbal) Medicine “Shoseiryuto (Xiao-Qing-Long-Tang)” on Airway Inflammation in a Mouse Model
漢方薬「小青竜湯」の気道炎症抑制効果に関するプロテオーム解析
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