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事態はどのように拗れていくのか?イスラエルのSNSに見る紛争の難治化プロセス

SNSが世間に出回り始めたのは2011年の東日本大震災の頃だったと記憶しています。あれを糸口として、多くの人がフェイスブックを始めだしたのを良く覚えています。しかしこの時期以降、社会の分断化もまた進んだような気がします。これにはSNSが関係しているのでしょうか。

今回取り上げる論文は、イスラエルのフェイスブック情報を元に社会の分断化プロセスについて調査したものになります。

憎しみの常態化:手に負えない政治的対立を背景とした Facebook でのアイデンティティ、感情の分極化、非人間化
The normalization of hatred: Identity, affective polarization, and dehumanization on Facebook in the context of intractable political conflict

この研究では社会が分断化され、対立に向かっていくプロセスを説明するモデルとして、Terrell Northrup (1989)によって提唱されたものを用いています。

これは社会における集団間の対立がこじれる段階として以下のプロセスを踏むことを示したものです。

・脅威:ある状態を脅威だと感じる(地球温暖化、ワクチン、移民など)
・歪曲:脅威になるような情報は、自らの信念に合致するように歪曲され解釈される。
・硬直化:自分と似た信念の人同士で内集団を作り、外集団に対して神学論争的な対立を深めていく。
・共謀:対立が制度化され、維持され、信念はより先鋭化していく。

イスラエルの極右グループの言説を調査すると、時間経過とともに上記の段階を踏んでいることが示されています。

Q: 憎しみに関わる人格要因はなにか?

明日読む論文:
宗教的な人々の間で宗教的寛容がどのようにして現れるのか: 知的謙虚さ、認知的柔軟性、特性の攻撃性の役割に関する研究
How religious tolerance can emerge among religious people: An investigation on the roles of intellectual humility, cognitive flexibility, and trait aggressiveness

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