中国国内移民の幸せと所得格差
中国における出稼ぎ労働者の絶対所得、所得格差、主観的幸福感:その関係とその心理メカニズムの理解に向けて
Absolute Income, Income Inequality and the Subjective Well-Being of Migrant Workers in China: Toward an Understanding of the Relationship and Its Psychological Mechanisms
所得格差と幸せの関係について興味がある。
よく言われているのが、所得が一定の閾値(年収600-800万円?)を超えるとそれ以上増えても幸福度がそんなに上がらなくなるというものだ。
今現在で同じようなことが起こるのかなと思って、上記論文を辿って直近の論文を漁り、見つけたのが今回取り上げる論文。
テーマは中国国内の国内移民の所得格差と幸せについて。
中国では地方から都市部への労働移住者が2億数千万人いるらしく、経済的にも社会的にもいろいろと問題を抱えているとのこと。
アンケート調査から求めたいろんなデータを使っていろんな傾向を求めているが、大事なところを箇条書きで書くと
・一般に所得と幸福は逆U字型の形を描くが、多くの国内移住者はその転換点のレベルに達していない。
・西部地域の移住者と、沿岸地域の高所得層(全国的なレベルでは中所得層)で所得格差が幸福感に与える負の影響が大きい。
・西部地域では社会経済的流動性が少ないこと、また沿岸地域でも移住者に対する社会的差別政策があり、より上昇することが困難なことが、所得格差の幸福感への負の影響を強くする原因。
とのこと。
頑張れば上昇できるという見込みがあれば、どうもヒトは不平等にも耐えられるが、見込みがなければ幸福度が減るということなんだろう。
Q: 社会経済的流動性(努力の有無で社会的地位が上がったり下がったりすること)って、国によってどの程度違うんだろう?
M-Indexによるソーシャルモビリティの国際比較
International Comparison of Social Mobility using the M-Index
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