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性格別に見たラポールの取りやすさとは?

仕事にしてもプライベートにしても、一番大事なのは信頼関係です。この信頼関係は心理学用語でラポールと呼ばれています。

このラポールはフランス語で「橋を架ける」という意味になりますが、ラポールを取る上で性格傾向はどのように影響するのでしょうか。今回取り上げる論文は、性格別の組み合わせでラポールがどう変わってくるかについて調べたものです。

初期の二者関係における行動と認識のビッグ 5予測因子: 性格の類似性は、外向的と内向的には役立ちますが、「不快な人」には害を与えます。
Big Five predictors of behavior and perceptions in initial dyadic interactions: Personality similarity helps extraverts and introverts, but hurts “disagreeables”.

この研究では87組のペアを対象に自由会話を行わせ、その時のラポールに関する様々な行動(会話後のラポールの程度、自己開示の回数、発話回数など)を評価しています。またそれぞれの話し手の性格傾向をビッグファイブ検査で評価しています。

ちなみにビッグファイブ検査とは、人間の性格傾向を、開放性、協調性、誠実性、外向性、神経症的傾向の5つの要素で示したものになります。

またこの研究ではラポールに関する要因について、以下の3つの立場から調べています。

一つは、話し手自身の性格傾向がラポールに与える影響です。例えば、外交性が高い人と低い人では自ずとラポールが取れる程度も変わってきます。

もう一つは話し手のパートナーの性格傾向がラポールに与える影響です。この人は話しやすいなと言う人もいれば、なんだか話しにくいなという人もいるかと思いますが、自分の性格だけでなく、相手の性格もラポールが取れる程度に影響してきます。

そして最後の一つが話し手と相手の性格の組み合わせがラポールにあたえる影響です。経験的にラポールが取りやすい人と取りにくい人というのがいると思うのですが、それは相性の問題によるものかもしれません。

これらの方法で性格傾向とラポールの関係を調べた結果、以下のことがわかりました。

・協調性が高い人や外向性が高い人は、相手の性格傾向にかかわらずラポールを取りやすい。

・同じ性格傾向の人(外交的な人同士、内向的な人同士)はラポールを取りやすい。

・ただし、互いに協調性が低い場合にはラポールが取りづらい。



Cuperman & Ickes, 2009, figure 2を参考に筆者作成


Cuperman & Ickes, 2009, figure 3を参考に筆者作成

明日読む論文:
言葉による信頼関係と非言語的な信頼関係の有効性を比較した実験室研究-面接における構築テクニック
A laboratory study comparing the effectiveness of verbal and nonverbal rapport-building techniques in interviews

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