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文化への染まりやすさは遺伝子で変わる?

その人の性格は環境と遺伝で決まると言われているが、実は環境からどれだけ影響を受けやすいかを決める遺伝子もあるという。

この遺伝子はDRD4と呼ばれるドーパミンの代謝に関わる遺伝子だが、この遺伝子のある種のタイプ(2R、もしくは7R対立遺伝子)のものは、環境の影響を受けやすい。具体的には、この遺伝子を持っていれば、欧米で育てば、より独立主義的な価値観を、アジア圏に育てば、より相互依存的な価値観を身につけることがわかっている。

今回取り上げる論文は、この遺伝子を中心に文化と遺伝子の関係について論じた総説論文。

ドーパミン系遺伝子と文化獲得: 規範感受性仮説
Dopamine-system genes and cultural acquisition: the norm sensitivity hypothesis

この論文によると、ある文化規範に染まりやすいほど、ある集団がピンチのときに生き残れる確率が増すため、ある集団がピンチを乗り越えるほど、文化規範に染まりやすい遺伝子を持つ割合が増えるのではないかと論じられている。

具体的には人類発祥の地であるアフリカから遠く移動すればするほど、文化規範の染まりやすさに関わる遺伝子の保有率が高まるのではないかと。実際、人類の移動距離と遺伝子保有割合をプロットすると、それを示唆する関係性が示される。


Kitayama et al., 2016, figure 2

Q: 他の遺伝子の影響も知りたい。
明日読む論文:
社会・文化環境と遺伝子の共進化と相互作用:これまでの成果と今後の課題

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