見出し画像

筋トレで自律神経はどの程度変わるのか?

私達の体には自律神経と呼ばれる体の調子をコントロールする仕組みがある。自律神経は交感神経系と副交感神経系でできている。交感神経系は頑張らなければいけない時に活性化してテンションを上げ、副交感神経系はその逆で心身の緊張を緩める働きがある。サウナの水風呂のあとのリラックス状態でもないが、交感神経を働かせたあとには副交感神経系が働きやすくなる。

今回取り上げる論文は、抵抗運動(筋力トレーニング)で自律神経系がどのように変化するかを詳しく調べたもの。

健康な若年男性における急性ストレス要因としてのレジスタンストレーニング:心拍変動、α-アミラーゼおよびコルチゾール濃度との関連性
Resistance training as an acute stressor in healthy young men: associations with heart rate variability, alpha-amylase, and cortisol levels

この研究では、普段から筋力トレーニングに励む45名の男性を対象に、トレーニング前、トレーニング中、トレーニング後でどのように自律神経活動の指標が変化するのかを調べている。

指標として用いたのは心拍数、RMSSD(副交感神経活動指標)、VLF(交感神経系活動指標)、LF(交感神経系と副交感神経系の活動指標)、HF(副交感神経指標)、LF/HF(交感神経系と副交感神経系のバランス指標)。これに加えて唾液中のアルファアミラーゼやコルチゾールなども測定している。

結果としては以下の図のとおりで、概ねエクササイズの開始によって交感神経系の活動が高まり、副交感神経系の活動が低下することが示されている。

論文 Figure 3

とはいえ、LFとHFの変化はほぼ同じであることを考えると、LFは交感神経系の活動よりも、副交感神経系の活動を反映するのではないかと考えたり、それゆえLF/HFは交感神経系と副交感神経系のバランスを図る指標として適切ではないように思える。

Q: 急性ストレスと慢性ストレスで心拍変動はどう違ってくるのか?
明日読む論文:
Effects of stress on heart rate complexity—A comparison between short-term and chronic stress
心拍数の複雑さに対するストレスの影響 - 短期ストレスと慢性ストレスの比較


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?