見出し画像

コンサーティーナの音が出なくなった場合の対処法

実はコンサーティーナの音の鳴る原理は「アコーディオン」や「ハーモニカ」と同じです。使われているリードの材質や大きさは異なりますが、ハーモニカと同じように空気の流れによって音が鳴る金属のリードが使われています。

画像3

コンサーティーナの中身

BASTARIコンサーティーナのリード

谷口楽器で取り扱っている「BASTARI(バスタリ)」というイタリアのメーカーの場合は「アコーディオン」と同じリードが使用されています。

アコーディオン用のリードは、コンサーティーナ専用のリードに比べると量産されているので、その分少し安く仕入れることができます。

イタリアから入荷した時点で、調律が狂ってしまっていることも多いので、店頭に出す前に必ず全てのコンサーティーナを調律します。アコーディオンと同じような要領でチューニングし、調整が必要な個所があればその時に修理もします。

コンサーティーナの魅力と弱点

ハーモニカもそうですが、素朴な音色で簡単に音が出せる小型楽器というのは比較的入門しやすいという利点があるのですが、その代わりに壊れやすいという点も持っています。

ほんの数分で対処できるような簡単なトラブルの方が多いので、ユーザー自身で簡単なメンテナンスは出来ることが必要な楽器なのかなと思います。

よくあるトラブル 音が出なくなる

先日店頭のコンサーティーナを弾いていたら、ボタンを押しても音が出ない個所がありました。その際どのように調整したかをご紹介したいと思います。

BASTARI A-48 Tenor(クロマチック式)コンサーティーナ

画像3

蛇腹の押し引きで同じ音が出る機種です。
こちらの上から2番目の押し音が出ていません。

まず蛇腹を強めに押し引きしてみる

中で木くずや小さなゴミがリードに挟まってしまっている場合は、蛇腹を強めに何度か押し引きすると直る場合があります。音が出ない部分のボタンを押しながら蛇腹を強めに押したり引いたりしてみてください。


蛇腹を強めに押し引きしても、問題が解決しない場合は・・・

中を開けてみましょう。

画像4
ドライバーでネジを外します。

お持ちのコンサーティーナをまだ開けたことがない方は、簡単なので是非やってみて下さい。ドライバーひとつでできます。

ネジの頭の形に注意

コンサーティーナのネジの頭の種類はいくつかあるので注意です。プラスマイナス、だけでなく、ポジドライブというネジが使われている物もあります。日本ではあまり見かけませんが、ヨーロッパには多いんだとか。よく見てみてくださいね!

画像4
画像5

コンサーティーナの中身

画像7
画像8
画像9

どのようにリードが配置されているかや、ボタンを支えるシャフトの向きなんかは、メーカーによって違ったりします。バスタリのクロマチック式はこのように開きます。

リードのあげみ調整

音が出ない原因のひとつに「リードの張り付き」があります。金属疲労によりリードが折れる直前でなければ、ヘラでリードを軽くはじくだけでこの問題は解決します。

※逆側のリードを調整したい場合は、サブタ皮(フィルムのようなもの)をめくって、そこからヘラでリードを押し出すような形でアゲミを調整します。

ヘラはハーモニカ修理工具の中に入っています。

再び音を出してみます。ラの押し音がクリアにでるようになりました。

「リードのあげみ調整」は、ハーモニカでもよく行う作業です。しばらく弾いていなくてリードの立ち上がりが悪いなと思ったら、リードを軽くはじいてみてください。元の音色が取り戻せると思います。


※金属疲労によりリードが折れた場合、あるいは折れる直前の場合は明らかに不明瞭な音がします。その場合はリードをはじくだけでは直りません。リードの取り換えが必要ですので、専門店へ修理をお願いしてください。

※自分で中を開けるのは自信がない、費用や時間がかかったとしてもいいという方は専門店に連絡して修理依頼をしてください。


以上、自分でもできる簡単な修理方法のご紹介でした。
参考になれば幸いです。

では、また!


応援してくれたら嬉しいです。励みになります。文字から伝えられるアコーディオン情報の発信、研究に努めます!🪗