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蛇腹楽器のABC~バンドネオン編

蛇腹楽器の中でも一番運指が複雑で、ひときわ怪しい音色の謎に包まれた楽器です。変わり者の多い蛇腹楽器愛好家の中でも、さらに変わったユーザーさんに好まれているような気がします。バンドネオンにもクロマチック式とダイアトニック式があります。


クロマチック式

クロマチック式配列のバンドネオン。リシャールガリアーノさんなど、アコーディオニストの方が演奏しているのを見たことがあります。蛇腹の押引で同じ音が出せるので、演奏時の感覚としてはアコーディオンと近いのかも知れません。音にキレを出したいというよりなめらかにメロディーを奏でたい場合はクロマチック式の方が得意なようです。


運指表と音域

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クロマチック式のバンドネオンの中にも、いくつか異なる配列の楽器が存在します。すべてのクロマチックバンドネオンがこちらの配列というわけではありません。
こちらは谷口楽器で入荷したAMERICAという機種の配列になります。半音ずつ規則的にボタンが並んでいて、中音域は約2オクターブ重複しています。

ダイアトニック式

押引異音のダイアトニック式バンドネオン。バンドネオンにおいては、こちらの方が主流のようです。タンゴのようなキレのある曲調、音のつぶをハッキリ出すのが特徴な楽曲にはダイアトニック式が用いられることが多いようですがそれが絶対という訳ではなく、もちろんなめらかな旋律も奏でられます。日本での第一人者といえば小松亮太さん。曲はピアソラの代表曲「リベルタンゴ」です。

運指表と音域

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ライニッシュ式バンドネオンのボタン配列

※機種によって一部、配列が異なることがあります。この運指表はアルフレッド・アーノルド製のバンドネオン運指表になります。

バンドネオンの歴史

バンドネオンは1835年頃にドイツのハインリッヒ・バンドによって考案、制作されました。1864年にドイツのアルフレッド・アーノルド(頭文字をとってAA:ドブレアー)が量産を始め、1922年~1930年が最盛期で、その多くはアルゼンチンに輸出されました。1933年アルフレッドの死後、息子が引き継ぎ、1949年までバンドネオンを作っていました。現在日本にあるほとんどのバンドネオンはアーノルド社の製品です。(バンドネオン・メソッド 石居庸介 著より)

そもそもバンドネオンは ジャーマンコンサーティーナ という楽器から派生したもので、広義にはコンサーティーナと分類されるらしいのですが、その変遷の歴史に関してこれ以上のことは・・・詳しい方々にお任せします!汗(もうすぐ小松亮太さんの書籍も発売されるそうですので買って読みましょう!👇)

最後に

バンドネオンに関しては日本での新品の取り扱いがほぼなく、谷口楽器でも今のところ中古品の取り扱いのみです。PIGINIやVICTORIAなど、アコーディオンメーカー製作によるバンドネオンも一応カタログにあるのですが、店頭に在庫が無いので受注生産という形になります。納期は数年単位で、費用も高額になってきます。

また、リードに使われる金属や木材の材質によっては、たとえ形やボタンの配列が同じだったとしても、アコーディオンに近い音色に聞こえることがあるようです。かつてのバンドネオンの音色と同じものが再現できるとは限らないのですね。

まだまだ知らないことがたくさんあるので、もっと調べていきたいと思っております。

では、また!

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