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あいてに、直接伝える

いま思えば、考え方も行動も違う二人が、同じ言葉をかけてくれた。

他のどんな人の言葉よりも、あなたの言葉の方が心に響く人もいる。 
 あいてに向かって直接伝えられるのは、あなたなんだから。」



一人目は18歳の時、同じコンビニでアルバイトをしていたカワサキさんが、買い物客がいなくなったタイミングで言ってくれた。

カワサキさんの名前を忘れてしまったが、神奈川県川崎市からその日の電車で行けるところまで行ったら、
静岡県浜松市だったのでここで生活する、と言って同じコンビニで働き出した方。
生活拠点を転々としながら、様々な仕事をされてきたみたいで、
カワサキさんの人生の歩みは、その当時の自分から見れば良くない人生を歩んでいる、と思っていた。


なぜ、そう思ったのだろう?


その当時、一つの目標に向かって進まないといけない、という思いがあったからだ。
悪い言い方をすれば、チャランポランな人生は自分にとってはいいかもしれないが、
他の人(例えば家族とか)が自分にかけてくれた時間や思いをよく無碍にできるな、とすら考えていた。

ただ、一方で、羨ましかった。
これまで自分の人生の選択を、自分の意思で決めてこれなかったからだ。
こっちの方へ行くと良いよ、こういう目標を持てば良いよ、と周りがレールに乗せてくれていた。


だから、カワサキさんへ
「こういう生活していることは、ご両親は知っているんですか?」
と質問をした。

「もちろん知っているし、最初は反対されたけど、
自分がしたいことはこういう生活なんだと言ったら、わかってくれた。
カワサキさんは、淡々と答えた。

反対されても、自分のしたいことを貫けるんだ。すごいけど、自分の場合は無理だな。
「自分だったら、そう言ってもわかってもらえないと思います。」

そう答えて、お客さん5人くらいのレジ打ちをした後、優しい表情で冒頭の言葉をかけてくれた。


二人目は20歳の時、こちらも同じ塾アルバイトの先輩塾講師、クマモトさん。
授業間の合間にある休憩中に、同じことを言ってくれた。
(クマモトさんの本名は覚えているが、熊本出身の方なのでカワサキさんと合わせる形で、こうしておく。)

クマモトさんは博識であり、サックスも嗜み、サッカーもやっていた上にイケメンというのだから、非の打ちようがない方だ。
塾講師としても、生徒がつまずきやすい分野に対する工夫やアイディアも豊富、生徒をやる気にさせる言葉かけや対話が自然にできる、スーパー塾講師。

そんなスーパー塾講師クマモトさんに、ちょっと嫉妬心もこもった愚痴をこぼした。
「生徒さんは全員、クマモトさんの授業を受けてた方が良いのに、
 塾の都合で担当が自分になっちゃった生徒さんが可哀想です。」

その回答として言われたのが、冒頭の言葉だった。



逆に考えてみる。

もし、この二人以外に言われたとしたら、この言葉を心に留めていただろうか?
あ、そうかも、くらいで流していたと思う。

誰より、二人から直接言われたから、心に響いたんだ。

何を言われたかも大事だが、誰に言われたかもすごく大事。

いつ、どのタイミングで言葉をフラッシュバックのように思い出して、
行動するかはわからないし、言葉を消費されてだけかもしれない。

それでも、相手が何かきっかけを掴む可能性があるのであれば、直接、伝えた方がいい。

あいてに向かって直接伝えられるのは、あなたなんだから。

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