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陽光うつくしき日に

あぁこれぞ春だ
そんな思いが浮かぶような光だった

冬のように寒いときいた予報に反して
窓からさしこむ暖かな光に
思い立って家を出た
ひさかたぶりのランニングシューズの紐を結んで

身体は硬い 焦らない 
街並みをウォーキングしながら
ひらけた空間を目指す
めざすは近くの球場 そのまわりを走るのだ

歩くことさえ どこか不慣れに思えるほど
運動不足の日々 
その体をほぐしながら
緑の増えてくる道をゆく

あっという間に球場近くへと
そして走り出す まずはゆっくりと
昨年痛めた左ひざにまだ違和感
歩みをゆるめ 無理はしない
やさしく 歩く ゆるゆると歩く

しだいに身体は教えてくれる
今ほぐすべき場所 動かすべき向きを
それにしたがって 前に進む
しゃがんでジャンプ サイドステップ
ももあげジャンプに テニスの素振り
少し走ってはまたマイペースに
ストレッチをしては ハイキックで脚の可動域を広げる

身体がゆるむと 心もゆるむ
すべては、差し込むこの光のおかげだ
外周を進むと目に飛び込むのは
ひらひらと舞うサクラ
ゆっくりと街にきらめいて
陽光を浴びて 視界を彩る

球場のまわりはずっとそんな景色だった
ピンク色、かなり白に近い桜、
淡く色づいた白、さまざまなサクラ色。
それぞれが、それぞれに美しい

あぁ、こうやって日本人は心のひだを細やかにしていくんだろうか
そう思うほどに。

ふと同じような柄の服を着た人たちがいることに気づく。
どこかの国旗のような、白、赤、濃紺。
ツバメの軍団のサポーターと気づく。
今日は大事な試合なのかな。通りすぎざまにふとよぎる。

歩く、走る、身体がもとめる動きをする
かつてスポーツをよくしていた頃を思い出す
その動きが、とても理にかなった 体がしたい動きだったことに気づく
あぁまたテニスを近々したい そんな想いを感じられたことが嬉しい

ただ身軽に、
ただこの光を感じたい
その思いで家を飛び出した先
思わぬ美しい景色がまっていた

それはまるで映画のシーンのようで
きっとスマホを持っていても、
その輝きのままには撮影できなかっただろう (※なので写真はイメージです)

その代わり、この目でたくさんピントを合わせた
今日にしかないこの桜や緑や空気を
めいっぱい体で感じた

きっとそれは、心や体の深いところに
大切な風景として残っていく
この陽光美しき日に
居合わせることができた 今日の幸せ
せめて言葉で 伝わる限りを。

誰もに心の平安と幸せが訪れますように



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