見出し画像

刹那

とにかくこの気持ちがなくなってしまう前に
僕は夕陽に会いたくなった

水面に映る夕陽は いつまでも消えないようでいて
眩しさの中に一瞬の儚さを生み、どこかへ行ってしまうように思えた

鳥たちが山に帰ってゆくのを傍に
水切りを始めたあの子
石と海がハイタッチしては飽きて
何かを言いたげだった

燃ゆる太陽に変わるところで
一日の終わりを迎える
この世界が真っ赤と群青しかないようになって
散歩帰りの老人の影を濃くしていた

この海に帰ったいま
奥底の答えを知る