歌集『花ふるまちで』
2023年11月に一次創作歌集『花ふるまちで』を発行しました。
後書きを入れなかったのでここにいろいろ書いていきます。
その前にまず、様々な形で歌題を出していただいた皆様ありがとうございました。
入稿してからタイトルの由来等を「これも短歌にして入れればよかったのでは?」と思ったので、実際に短歌にして印刷したペーパーを付けてあります。その内容と、装丁についての記録やこぼれ話をここに残しておこうという記事です。
装丁について
印刷:おたクラブ様
表紙:ファンタス・ブラック200㎏ レインボーPP
本文:モンテルキア90.5㎏ 黒藍一色刷り
その他:カラー口絵、ノベルティとして栞、名刺、ペーパー付き
ファンタスとレインボーPPを組み合わせようという発想からそれに似合いそうな表紙を作りました。口絵がファンタスの光沢面に映りこむのが狙い通りで好きなポイントです。タイトルに合わせて表紙と口絵に花びらが降っています。
ずっと憧れだったコスモテック様の「紙と箔完全お任せしおり」を購入したのでノベルティとして付けてあります。とても可愛い。たくさんあるので今後出す本にもつける予定です。
ペーパーはオペラクリームウルトラに自宅印刷です。
タイトルについて
タイトル『花ふるまちで』は口絵に載せた「窓からは見えないものの手触りを花ふるまちで教えてもらう」より取っています。
「花ふるまち」は著者が今住んでいるまちをモデルにした架空のまちです。このまちで、短歌にうたわれているいろいろなことが起きています。また、著者が今住んでいるまちに来てから知ったものの見方や関心の持ち方があるといった意味も込めて選んだ言葉です。歌に詠みたいものを見つめる眼差しを持ったということを言いたかったのです。というような補足説明的な情報の入った歌を入れてもよかったかもしれないなと後から思いましたので、より著者自身に密接した短歌を実際に詠んでみてペーパーとしてつけました。
ペーパーの短歌
という訳でペーパーに印刷した短歌です。
『花ふるまちで』制作前日譚
身ひとつと言うには重い荷と胸で転がり込んだまちにふる花
新天地、心機一転、そういうの 夢想するのは得意だ だった
持て余す八畳の空 天井の近さが少し安心させる
道順を覚える前に花を追うだけで辿れてしまった家路
ミュージックビデオみたいに思い出す春風がそういえば好きだな
高くない天球にでも手を触れたことなどないし伸ばしてもない
ご自身を責めないでって言われると責められているみたいで ごめん
したいのは打ち明けばなし涙などただの鎮静剤だとしても
案ずるは産むより安いだろうけどどっちが愚かなのか知らない
誤って検索窓に打ち込んだ思いはうたにするものだった
ゆるやかに焦りを剥いでいく春に石焼き芋がまだ売っている
かりそめと呼べば愛しいと思った空の狭さも必要だった
窓からは見えないものの手触りを花ふるまちで教えてもらう
こぼれ話
載っている歌の中で一番古いのは多分2022年7月のものだと思います。といっても1年ちょっとの間に呼んだ歌を満遍なくではなくて気に入ったものだけを載せているので、2023年春以降の歌の割合が多いです。そもそも短歌をたくさん詠んだ期間がその頃でもあります。
お気に入りは最後の連作「ひとりとひとり」です。16首のコンパクトな連作ですが、それこそ50首くらいの連作でも作れるんじゃないかと思うくらい気に入るテーマで歌にしていない設定などもあったので、また同じ女の子たちの歌を詠むかもしれません。
歌集を編んでいる期間のbgmはにしな、Tele、黒子首が多めのミックスリストでした。
おわりに
最後に宣伝として、『花ふるまちで』はこちらからご購入いただけます。
お読みいただきありがとうございました。
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