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電力各社の電気料金を比較してみたら…

電気料金の値上がりが止まりません。
背景には、ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰、
急速な円安で火力発電所の燃料調達コストの増加などがあるようです。

「今後も燃料価格が改善する見込みはない」というのが、
電力各社の見立てです。

大手電力各社は毎月、「○月分電気料金の燃料費調整」という資料を
ホームページで公表しています。
原油やLNG、石炭など燃料費の価格、
使用電力1kWh当たりの単価などをまとめたものです。
この資料を見ると、2か月先の電気料金がどうなるかが
分かります。
平均的なモデル家庭の料金が例示されていますので、
参考になります。

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2022/pdf/20221028_2j.pdf

東京電力や関西電力など4社の過去1年分について、
モデル家庭の電気料金の推移を独自にまとめてみました。
それが以下の表になります。

電気料金の推移

東京電力…従量電灯B、契約電流30A、使用電力量250kWh
関西電力…従量電灯A、        使用電力量260kWh
中部電力…従量電灯B、契約電流30A、 使用電力量260kWh
九州電力…従量電灯B、契約電流30A、使用電力量250kWh

どこの電力会社も値上がりしているのですが、
関西電力や九州電力は値上げ幅が抑えられている一方、
東京電力、中部電力は大きいことが分かると思います。
関西電力や九州電力は500円~1000円ほどアップに対して、
東京電力や中部電力は2000円以上です。

なぜ、電力各社によってこのように差が違うかというと、
各社の電源構成に理由があります。
電源構成というのは、
何を材料として電気を作り出しているのか、
つまり、
石炭なのか、LNGなのか、原発なのか、再生可能エネルギーなのか…

昨今、資源高騰の影響を受けているのは主に石炭やLNGです。
例えば、今年8月の天然ガスの取引額は昨年4月に比べ、
2・5倍に跳ね上がっています(下図参照、新電力ネット参照)。


天然ガスの価格推移

東京電力や中部電力はLNGで主に発電しているので、
影響を受けやすい形になっているのです。

他方、関西電力や九州電力は原発が稼働していて、
原発の比率が高く、
LNGの比率を抑えられていることから、
電気料金の上げ幅も比較的抑えられています。

関西電力の電源構成比は
①原子力27.9%②LNG火力23.0%③石炭火力17.0%
といった具合です。
https://kepco.jp/ryokin/power_supply/

東京電力は①LNG・その他ガス56%②石炭火力21%③FIT8%と続き、
原発は0%です。
https://www.tepco.co.jp/ep/power_supply/index-j.html


東京電力は2011年の東日本大震災で福島第1原発事故を起こし
放射性物質をまき散らしました。
福島第1原発の周囲の自治体では避難した人が戻っておらず
大変な状況は今も続いています。
また、ロシアのウクライナ侵攻で原発が狙われる事態も発生しました。
電気代が高いから、「じゃあ原発を動かせ」とは
なかなかいかないでしょう。

ただ、電力会社によって、
電気料金に差が生じるのは、
こうした背景があることは押さえておきたいですね。


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