麻雀組合の活動について③      陳情活動とアルコールの提供実現

麻雀店では、今は当たり前だけど昔はNGだった、禁止されていたことというのがいくつかあります。もちろん逆もありますが。

よく、組合非加入の麻雀店に行って組合加入のお話をすると、「組合は何にもやっていないから入るの意味ないよ」ってよく言われます。もちろんこう言われてしまう組合自体にも問題はあるのですが、今あなたが営業できているスタイルも長年組合が陳情活動など行ったおかげなんですよ~と言っても、、なかなかご理解頂くのは厳しいですね。
 
さて、組合の陳情活動の歴史の中で、アルコールの提供が認められたことは極めて大きい成果ではないでしょうか?
1985年の風営法改正からアルコールの提供が認められたのですが、そこには更なる問題が降り注ぎ、組合の力で解決していきました。

以下は、全雀連50周年のあゆみに掲載された一文です。


『飲食物提供の舞台裏で決死の交渉』
 飲食物の提供が許可になったことで、当時東京都連の青木理事長は、東京都衛生局から呼び出しを受け、担当係長から「これからは保健所の許可を取ってから飲食物の販売をするように指導してください」と言われたのです。
 その許可基準とは、台所の中に水槽を2基、手洗い器を2ヶ所、冷蔵庫、換気扇、ガラス戸の付いた食器戸棚等を設置し、台所と客席の間に扉をつける、というものでした。
 これらの条件は、当時の麻雀店の台所のスペースではとても不可能だったので、青木は「これを現状の店に押し付けることはとても無理なことです。なんとか今までの店は従来通りで販売できることとし、新規の営業者からにしてくれませんか」とお断りして帰りました。
 それから3日後、再度衛生局から呼び出され、「このまま飲食物を提供するならば、麻雀営業もできなくなりますけどいいですか」という話にまでなりました。青木理事長は、深い悩みをかかえ、ずいぶん考えたすえ、厚生省衛生局長を紹介していただき、現状の麻雀店の形態を説明、あえて決死の直訴におよびました。
 しかしながら、衛生局長には「これは地方自治体の問題だから、国としてはどうすることもできません」と、無下に断られてしまいました。
 そこで次の手段として、小さな台所で営業している店数十軒に呼びかけ、営業許可書に添付されている台所の見取り図のコピーを集め、それを持って東京都衛生局へ行き、担当係長の上司である課長に会い強引にお願いしました。
 それから5日後、青木に帰ってきた答えは、「既得営業者に限り台所の改善は3年の猶予を与えるので、その間にできるだけ早く条件通りの設備をし、保健所の許可を取得すること。それまでは、ワンカップ、カンビール等にし、つまみは乾き物に限定して販売し、グラス類は使用しないようにすること。新規営業者は保険所の許可を取るよう指導してください」との結論を漸く得ました。
 この東京都の基準が全国的に取り扱われ、既得権営業者は、当面台所の改善をすることなく飲食物の提供ができるようになったのです。


なんということでしょうか。せっかく風営法改正でアルコール(飲食物)の提供がOKになったのに、今度は保健所の許可という課題がのしかかってきました。
店内で調理して料理を出すお店であれば、それもやむを得ないかもしれませんが、アルコールにちょっとしたおつまみを出す程度でも今度は許可が必要になってきます。
この時の青木理事長のご苦労はいかほどのものであったでしょうか。しかし、この時の組合の動きがあったからこそ現在普通にアルコールの提供が可能になっていると言っていいと思います。

尚、『ワンカップ、カンビール等にし、つまみは乾き物に限定して販売し、グラス類は使用しないようにすること。』この指導がいまでも慣例になって、コップに注がなければ飲食の許可が無くてもアルコールの提供が可能ということに繋がっていると考えられています。 
                             (続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?