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心臓弁膜症専門医でなくても診て欲しいと思う母の気持ち

心臓弁膜症専門医でなくても診て欲しいと思う母の気持ち

は、患者が誰しも懐く不安感に由来すると思う。

 普通に生活をしていたら、循環器専門医師に出会う事は十中八九無い。


 だが、娘である私の心臓手術の説明に同席し、医療基礎知識皆無な老齢の母にも理解できる、とても平易な説明をしてくださった循環器内科医K医師が、術前説明も母にも理解出来るものだった事に加え、通常半年待ちの手術日が、日曜市の出店の関係で、通常一般的な医療機関や介護施設等が医療関係者がシフトをずらしてスタッフが正月休みを取る為にベッドを開ける事が多い、正月前後を希望した事でおよそ3ヶ月後のスピード手術になり、そのスピード入院手術できる事を看護師さん方が診察後の手術の手続きや説明を更に捕捉してくださる時に、必ず口々に寿いでくださったので【幸運】ではなく、【凄い先生】認識されたのだと思う。

 私の入院日と翌日の春の七草の縁起良さそうな手術日に付き添い、手術日の母は普段の帽子を被っていなかったので、K医師から
「お母さん。
今日、僕と初対面ではないですよね?」
と、
奇抜な毛髪の色で相当印象が違っていたのか?
多分、1度で人の顔と名前を覚えられる自負があるであろうK医師から訊かれたようで
『はい。
お会いしています。
今日は帽子を被っていないので…』
「初めからその髪色でしたっけ?」
『はい。
帽子の関係でわからなかったかも知れませんが、トリートメントで染めていたら、プールで泳ぐようになって、私の場合は、塩素に反応してブルーになっていますが、人によって赤くなる方もいます』
「塩素で?」
『はい。塩素で』
K医師は、理科の実験に興味津々な少年のような表情とリアクションで、母のK医師の好感度は上がり、母性本能もくすぐったようで、この時の話は今後事ある毎に聞かされるようになる。

 術中の家族待合室は知らないけれど、心配しながら待っていた母への術後説明も分かりやすく丁寧だった上に
「お母さん
安心してください。
娘さんの心臓は丈夫です」
【この人の笑顔見たら病気も吹き飛ぶわ】な笑顔で太鼓判を押されたら、安堵以外にも、信頼度は何倍にも増し増しになると思う。

 多分、きなこさんの娘さんの話を読んでいると、循環器科医師という専門医の人の多くは患者さんを安堵させる笑顔なんだろうけれど。
 
 だからこそ、心臓弁膜症専門医でないとわかっても
『K先生に診てもらいたい』
と思う気持ちは、患者自身の心情を考えるとよくわかる。

 だけど、自称腐女医さーたり外科医のblogや、漫画やtweetを読んで、専門医分野が違っていると、我が子の病変もGoogle検索便りになる事も私は知ってしまったけれど…
母には、そこまで詳しく言えない。

 母はいつも通り、コロナ禍を気にせず、片足1kgの膝人工関節×両足で、プールに泳ぎに行き、K医師の退職情報を入手したK医師患者さんに会ったので
「K先生。
今は某県の○○医大に勤めゆうと~」
『えらい遠いに行ったがやねぇ…
簡単に診てもらえんき
ばっさり(残念)や』
と個人情報保護法は、爺婆に通用しない世間話をして来たと笑顔で言う。

母。デリカシーに欠けてる。

母には言い忘れたが、術後1年通院日が一年未満の少し早めな私の誕生日にしてあり苦情を言うと
「誕生日だから受信日忘れんろう?」
と悪戯っぽく笑っていなした
K医師が
『今日はお母さんは?』
と訊き
「手術説明とかではないので、私1人です」
と答えると、何故か凄く残念がっていた。
あの風体が楽しみだったのだろうか?
 その後の何度かの受診日に、ボディーランゲージや想定外の患者回答のリアクションは相変わらず楽しい先生だったけれど、伸び伸びした説明の文字や図が小さくなっていて、何かストレスを抱えているのではないか?と気になった事も含めて退職に至ったのかも知れない。

母のプール通いはまだ暫く続く。



~余談~
 母の日曜市の販促PRのblogに、札幌ハートセンターで同じカテーテル・アブレーション手術を受けた患者さんが、体験談コメントを残してくださったおかげで、予期不安原因の胸痛に悩まされていた私に、札幌ハートセンターCEO藤田医師が「症例件数日本一」(当時2位)を目指している上に、件数だけではなくきちんと手術をする事は至極当然だという姿勢の方だから、場所が違っていてもハートセンターの医師の志は同じ的な事を書いてくださった事や、放置して場合には、あの苦痛に加えて命を落とすか?長嶋茂雄名誉監督のように血栓が脳に飛んで麻痺が残る前に手術受けた方が良いとくださったアドバイスが決心できた理由の一つ。
 感謝しかない。
 国立循環器センターの手術説明前の同時の完治率は96%だった頃で【あややの物まね芸人さんが服薬対処療法で亡くなったのは術後数ヶ月後で、ネット記事では安らかに逝ったように見える文面だったけれど、救急車で搬送される先を待つ間の苦しさは体験者にしかわからない】、症例件数が増える毎に年々減っていき、心臓の症状と経過放置期間等に因る再発率も発表されていて、
・ホットバルーンアブレーション
・クライオバルーンによる冷凍アブレーション(「発作性」心房細動にのみ適応)
等、当時の手術手技技術力の正確さに頼らなくても出来る術式も増えてきている。

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