教育という仕事

社員研修の仕事をしていると、
まれに「急な日程の変更」があります。
これは正直言ってキツいです。

時間のやりくり

教育課程学を学んだ私は、
日程を見て、教材を読み込んで、
時間単位で日程表を作成します。
それでも受講生の理解度に合わせて、
柔軟にできるようにはしています。
ただ、当日とか前日に
「明日は1時間早く終わってください」
と言われると、組み直しが発生します。
直前だと時間の調整が難しいのです。

日程のやりくり

4月~5月(または6月)の日程の研修だと、
途中にゴールデンウイーク(GW)があります。
GW中の平日に講義があるかどうかは、最初から判っているので、
GW前に一段落を付けるような日程を考えています。
GW中の平日に講義がなく1週間休みになる場合は、
GW中に理解度が落ちないような課題を与えたり、
GW後に理解度のチェックをしたりという日程を考えます。
GW中の平日に講義がある場合は、
GW中に演習をして定着させます。
この日程が崩れると中途半端な形でGWに入っていくことになり、
学習効果が薄れてきます。

教える仕事への無理解

急な日程の変更が顧客企業の要請によるもの以外に、
研修会社(元請)の要請の場合もあります。
どちらにしても、「教える」という仕事を、
「教材を読んで説明するだけ」のように考えているのでは?
と疑いたくなるような事例にも出くわします。
教育学を学んでいると「授業案」の作成というのが出てきます。
1時間(1校時)の授業についての進行表です。
教科書があれば教えられるというものではありません。
学校の教員には「教師用指導書」というものがあり、
専門の部分でなくても「指導書通り」になら教えられます。
たとえば、経営学部でマーケティングを学んだ学生が、
「商業」科目の教員免許を取得できますが、
この教師が商業科目の一つである「簿記」を教えられるかというと、
指導書通りにしか教える事が出来ません。

でも人材育成の仕事に教師用指導書はありません。
授業案は自分で作ることになります。
ですから、1ヶ月の研修に、1週間以上の準備が必要です。
授業を「プレゼンテーション」として考えれば、
教育学を知らなくても理解できると思います。
「プレゼンは準備が8割」と言われます。
20分のプレゼンに、80分かけて準備をします。
専門分野とか、何度も担当している講義なら、
「8割」まではいらないかもしれませんが、
それでも「教材の思想」(教える内容の順番等)によって、
説明の仕方が変わってきますので、
テキストを渡して「明日から担当してくれ」は難しいです。
それを判ってくれる元請さんや企業さんは貴重です。

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